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メタボリックシンドローム「糖尿病」
前回「メタボリックシンドローム」に関して、平成20年度から新たに始まる特定健康診査・特定保健指導についてお話しましたが、この中で特に注意しなければならない病気が「糖尿病」です。
次のような質問が私のところに届きました。「私は糖尿病です。医師に糖尿病性網膜症にも気を付けた方がいいと言われ、眼科の検診を勧められました。自分にはまったく自覚症状がないのですが、検査は必要ですか?」というものです。
答えは「眼科の検査は絶対に必要」です。はっきり申し上げて、自覚症状が出てからでは手遅れのことがあります。20〜30年前には、糖尿病で眼が見えなくなるということが一般的には知られていませんでした。その頃に「眼が見えなくなった」と訴えて眼科を受診し、初めて糖尿病が見つかった例もありました。今では成人の失明の第一原因ということも周知されるようになり、糖尿病を指摘されたら眼科を受診するのが当然と言われるまでになり、網膜症の発見も早くなりました。
糖尿病は、血糖値が高くなる病気ですが、糖尿病で死ぬことはありません。血糖が高くなることによって、全身の種々の部位で出血したり血管が詰まったりする主に血管の異常が起きる病気です。代表的なのは目、腎臓、心臓や脳に起きる血管障害です。目に起こるのが糖尿病性網膜症、腎臓に起こると腎不全、心臓に起こるのが心筋梗塞や狭心症、そして脳に起きるのが脳出血や脳梗塞です。
目に起きる糖尿病性網膜症では、眼球内の網膜というところにある血管を中心に異常が起き、眼底出血や血管閉塞を起こします。網膜症が進行すると、眼球の中に出血する硝子体出血を起こします。これを繰り返すと、最後には網膜剥離を起こして失明してしまう怖い病気です。
他の病気もそうですが、糖尿病の治療は基本的に早期発見・早期治療です。糖尿病と診断されても、ほとんどの場合、初めのうちには眼底出血はありません。糖尿病の治療や食事、飲酒、運動など、普段の生活をいい加減にしていると糖尿病性網膜症を起こしてきます。それでも初めのうちは眼科的な治療の必要はなく、内科で糖尿病の正しい管理と治療をすること、そして運動や食事に注意することが大切です。ただし、そのときでも定期的に眼底検査をする必要があります。
糖尿病性網膜症は進行します。初めのうちは網膜に小さな点状出血(実は出血ではなく毛細血管瘤といいます)が出現してきます。だんだん網膜の出血が増え、毛細血管が閉塞して浮腫が強くなってきます。しかし、網膜症もここまでは平面的で、網膜に限局しています。この段階までを単純性糖尿病性網膜症といいます。網膜症が進むと、網膜内だけでなく眼球(硝子体)内に向かって新生血管(新しい異常な血管)が侵入してきます。この状態は立体的に網膜と硝子体に異常を起こしてきているもので、これを増殖性糖尿病性網膜症といいます。網膜症が単純性から増殖性になるときに、レーザー光線を使った網膜光凝固療法という手術が必要になります。この時期を見過ごさないために、定期的に眼底検査を行うことが大切です。
糖尿病は、生活習慣病の中でも大変怖い病気です。普段の生活で食事、飲酒、運動などに十分気を付け、健康で楽しい生活をおくりましょう。
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