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「性感染症」―知って防ごうー

 年度末を迎え、4月から社会人として或いは大学生として、新天地で新たな人生をスタートされる方々が多くいらっしゃると思います。そこで新たな出会いもあるでしょう。現在若い人たちの間で問題になっている「性感染症」から自分の身を守るためには、まず病気のことをよく知って、病気に感染しないように注意することが大切です。
 今回は、昨年10月22日に開催されました「日本医師会市民公開講座―知って防ごう性感染症―現状と課題」を担当した飯沼雅朗日本医師会常任理事に「性感染症」について書いていただきましたので、お読み頂き充分役立てて下さい。
 「性感染症」とは性行為によって感染する病気の総称で、主に性行為によって、性器、口腔などから感染します。エイズ(HIV感染症)、梅毒、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、B型肝炎などが代表的な病気で、最近では子宮頚がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染症(HPV)も注目されてきました。
 性の低年齢化や自由化、性に対する考え方の変化などにより性感染症は増加傾向にありますが、日本では検査や治療に対して消極的なことも多く、性感染症の蔓延を防ぐには社会全体で取り組まなければなりません。
 性感染症は、主だった症状がないことが多く、自覚症状に乏しいため、検査をしなければ感染に気づかないということもあり、治療を受けていない人も多くいます。しかし無症状であっても、性行為によって感染は起こってしまいますので、知らない間に人にうつし、感染が広がってしまいます。特に女性は、病気の重症化や、後遺症として不妊症、妊娠中の母児感染の心配もあります。また、性感染症は重複しやすく、クラミジアや淋菌感染症にかかっていると2〜5倍、尖形コンジローマ、性器ヘルペスウイルス感染症にかかっていると男性では10〜50倍、女性では50〜300倍もエイズ(HIV感染症)にかかりやすくなるといわれています。
 自分は相手が一人だと思っていても、そのパートナーにはたくさんの相手がいる場合もあります。また、それぞれの人の過去には、たくさんの人による複雑な「性的接触者の輪」があることも少なくありません。それらの人がそれぞれ3人とセックスしていたら数年の間に驚くほどの人数と接触した可能性がありますし、その中には、異性愛者、同性愛者、両性愛者など、性行為の相手もさまざまであることが考えられます。また、若い人たちは、男女関係の回転が速いため、感染を絶つ前に、人間関係が絶たれているのが現状です。コンドームは、避妊のためではなく、性感染症の予防のために正しく使いましょう。
 性感染症の治療は、男性と女性では診療科が違うということもあり、検査で陽性とわかっていてもパートナーと一緒に治療を受けにくいという問題もあります。これは感染症ですからパートナーも感染していることが多く、パートナーから再感染してしまいますので、パートナーと一緒に治療を受けなければなりません。また、恥ずかしいとか、差別意識があるために検査が受けにくいといったこともあり、治療開始が遅れてしまうという問題もあります。
 性感染症に感染しないためには「性感染症を知ること」「検査を受けること」「パートナーと一緒に治療をすること」の3つがとても大切です。積極的に性感染症の知識を得て「自分の身体は自分で守る」という姿勢を持ってください。また、心配な人は恥ずかしがらずに医療機関等で検査を受けましょう。


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