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「エイズ」(AIDS) ―後天性免疫不全症候群―
前回、性感染症についてお知らせしましたが、今回はその中でも大変恐ろしい病気である「エイズ」(AIDS)についてお話しします。「性感染症」の1つであるエイズは病原ウイルスであるHIV(human immunodeficiency virus)が感染した病気であり、同性間、異性間の性交渉や血液、血液製剤、母子感染などにより伝搬ざれます。1981年に新しい病気として報告されました。この感染症は全世界に広がり、これまでに約7,000万人が感染し、そのうち約3,000万人が亡くなっています。特に発展途上国を中心に拡大が続いています。先進国では感染の拡大が必ずしも食い止められていませんが、治療薬の発達により、エイズの発症は減少してきています。
怖いことに、日本では未だにHIV感染症/エイズが増え続けています。平成18年12月31日現在のHIV感染者の数は、日本国籍6,214人(男5,630、女584)外国籍2,092人(男857、女1,235)で合計8,306人です。エイズ患者は、日本国籍3,130人(男2,910、女220)、外国籍904人(男613、女291)で合計4,034人です。外国籍を除いて、圧倒的に男性の方が多く感染しています。これは病気に対する知識の欠如と予防に対する啓発の遅れ、そして検査実施の遅れに原因があります。早期発見、早期治療が患者の予後改善の鍵を握っています。
感染が起こると重篤な免疫不全状態となります。このため日和見感染症(健康な状態では細菌やウイルスが体内に入っても免疫により病気を発症しないが、免疫力が低下すると病気を発症しやすくなる)と悪性腫瘍、HIV脳症などの多彩な合併症を引き起こします。年月を経て発症したのが「エイズ」です。エイズは日本名「後天性免疫不全症候群」を見ればお分かりのように、子供の頃から体に備わって来た免疫力が、だんだん弱くなって来る病気です。免疫が弱くなると何が起きるかと申しますと、外界から体に侵入してくる細菌やウイルスに対しての抵抗力が落ちてくるのです。その結果、今まででは体に侵入して来ても、免疫が防いでくれていた病気に掛かってしまうということが起きてきます。
最近の厚生労働省の発表では、HIV検査の結果が陽性だった人のうち、すでにエイズが発症している状態で見つかった人が増えてきているとのことです。そして、その割合は大都市よりその近隣県で大きいことが分かりました。初めての検査が陽性だった人のうちエイズ患者の割合を「新規患者割合」として集計すると、全国平均が29.9%に対して、大都市の東京は21.9%、大阪19.0%、愛知27.5%といずれも全国平均を下回っています。一方で東京近隣の茨城は50.0%、埼玉48.5%、千葉42.0%、大阪近隣の奈良53.8%、兵庫43.5%、滋賀37.5%、愛知近隣の三重83.3%、岐阜53.8%といずれも全国平均を大きく上回っています。ただ大都野近隣でも検査件数の多い神奈川では29.7%、京都27.6%、静岡15.6%と全国平均を下回っていました。この結果から、HIVの検査をする人が少ない地域ほど陽性者のエイズ発症率が高いことが分かりました。そこで厚労省は、検査件数を増やせば、その分、発症前の段階で見つけることができ、投薬などの治療で発症を遅らせることができる、として検査件数を増やして早期発見に務めるように呼びかけています。HIV検査は、通常感染してから6〜8週経たないと抗体が産生されないので抗体検査は陰性となりますので、可能性がある場合には期間をあけて再検査をする必要があります。
昨年1年間の献血件数は4,987,857件で、そのうちHIV陽性件数は87件でした。
前回の繰り返しになりますが、自分は相手が一人だと思っていても、そのパートナーにはたくさんの相手がいる場合もあります。また、それぞれの人の過去には、たくさんの人による複雑な「性的接触者の輪」があることも少なくありません。それらの人がそれぞれ3人とセックスしていたら数年の間に驚くほどの人数と接触した可能性がありますし、その中には、異性愛者、同性愛者、両性愛者など、性行為の相手もさまざまであることが考えられます。また、若い人たちは、男女関係の回転が速いため、感染を絶つ前に、人間関係が絶たれているのが現状です。コンドームは、避妊のためではなく、性感染症の予防のために正しく使いましょう。
性感染症に感染しないためには「性感染症を知ること」「検査を受けること」「パートナーと一緒に治療をすること」の3つがとても大切です。積極的に性感染症の知識を得て「自分の身体は自分で守る」という姿勢を持ってください。また、心配な人は恥ずかしがらずに医療機関等で検査を受けましょう。
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