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「ペットから病気がうつる?」―ヒト動物共通感染症・総論―

 現在、動物と一緒に生活をする人たちが増え ています。ペットを自分の子どもと同じ、ある いは子ども以上に可愛がって一緒に暮らしてい るご夫婦やお年寄りもたくさんおります。昔は 屋外で飼っていた犬も、今では家の中で飼うよ うになり、身近なところでヒトの伴侶動物(コ ンパニオンアニマル)として共同生活をするよ うになりました。認知症などはペットと共に暮 らすことで、療養生活(QOL)の向上や治療 効果が期待されるようになりました。ペットは ヒトの心を癒やしてくれる大切な仲間です。
 ペットとして多く飼われているのはイヌ(犬)、 ネコ(猫)、トリ(鳥)です。昭和40年代に は、ペットショップで売られている動物といえ ばイヌ、ネコ、文鳥、十姉妹、カナリヤ、イン コ、金魚、メダカ、エンゼルフィッシュくらい であったと思います。しかし最近では野生に近 い哺乳動物、爬虫類、両生類、昆虫類などが飼 われるようになり、ハリネズミ、大型オウム、 チンチラ、古代魚、オオカブトムシなど、昔は 動物園でしか見られなかったような生き物が売 られています。加えて、ペットにする動物も日 本に長年生息している動物に代わって、国外か ら輸入動物が入ってくるようになりました。
 今までは日本は島国で外部からの動物の侵入は ほとんどなかったのですが、最近では外国の動 物が空輸で運ばれてくるようになりました。し かしながら、日本には輸入動物に対する検疫シ ステムや予防接種法がありますので、ほとんど の動物感染症は国内に入らないようになってい ますが、保健所の人や獣医も初めて見るような 動物もいます。外国では、自国の生態系を守る ために、商業用動物の輸入を禁止している国も あります。
 なぜ今更、ヒト動物共通感染症がクローズアッ プされてきたのでしょう。それはペットの飼い 方が時代とともに変わってきたからです。現在 のような状況では動物の病気がヒトにうつる危 険が大変気になるところです。ヒト動物共通感 染症の問題も、インターネットや書籍を通じて 情報提供されており、その危険性に対して世間 で過剰反応している節もあります。中には処分 (殺)した方が良いというようなことをいう方 までいます。ペットを飼う方々には、ヒトと動 物の共通感染症に興味を持ち、正しい知識を得 て「病気は治るもの」「病気がうつるのを予防 できるもの」という認識をもって頂きたいもの です。
 ヒトの一番身近にいるイヌとの共同生活は約2 万年前から始まりました。ヒトが狩をした後の おこぼれを狙ってイヌの方からヒトに近づいて 来たようです。2万年前から数十年前までは、 イヌはヒトにとっては家族ではなく、番犬であっ たり、家畜であったり、保温のための生き物だっ たのです。
 ネコの歴史は比較的新しく、4000年前のエ ジプト時代からといわれています。当時は、ネ コは穀物倉庫を荒らすネズミ駆除のために飼わ れていました。またエジプトでは神聖な動物と して崇められ壁画などに描かれています。日本 にはシルクロードを伝わり、仏教と共に輸入さ れてきました。ネコが船に乗せられたのも、教 典をネズミから守るためだったようです。
 トリの起源は約5000年前のインドから東南 アジアで、人々が農耕作業をするようになって からニワトリが飼われるようになりました。ニ ワトリは鳴き声で時刻を知らせたり、闘鶏で運 勢を占ったりすることに利用されていました。 そのうち肉や卵を食用にするために飼われるよ うになりました。ニワトリやアヒルなどは、ペッ トというよりは家畜(家禽)としての歴史がほ とんどです。一方、インコ、オウム、文鳥、十姉 妹などのカゴの鳥が飼われだしたのは200年 ほど前からといわれています。こちらは食用で はなく観賞用として飼わ れてきました。イヌ、ネ コ、トリともにヒトとの 共同生活がありながら、 ヒト動物共通感染症がそ れほど問題にならなかっ たのは、ヒトと動物との 距離がある程度存在して いたからです。
 また最近では、赤ちゃん のペットを「可愛い!カ ワイイ!」と言って飼い だしたけれども、そのペッ トが大きくなったり、え さ代などの経済的負担が 大きくなったとして面倒 が見切れなくなり、別な 町に捨てたり、池や川に 捨てたりするような非倫 理的なことも起きていま す。ペットによっては危 険な場合もあり、ヒトに 危害が及ぶことも考えら れ、飼うヒトの人間性が 問われるようにもなって きました。「ペットを飼う」「ペットと暮らす」 ということは社会に対する責任も発生するわけ ですから、ペットに対する愛情は勿論、ペット に関する正しい知識や感染の予防方法などに関 する正確な知識を得て、社会、特に近所の人た ちに迷惑をかけないように、ペットとの共同生 活を楽しんで一緒に暮らしてください。



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