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「ペットから病気がうつる?」―ネコからうつる―

 ネコとヒトとの歴史は約4000年前のエジプト 時代からといわれています。当時は穀物貯蔵庫 を荒らすネズミを駆除するために飼われていま した。また、エジプトでは当時の壁画にネコが 描かれています。エジプトではネコは神聖な動 物として崇められていました。それは、ネコの 瞳が太陽光に鋭敏に反応して動くこと、そして 闇の中でも物を見ることができるのが「夜に太 陽がネコの目を通して下界を見るためだ」と考 えられたのでネコが崇拝されるようになったと いうことです。
 そのネコは、エジプトからシルクロードを伝 わり、仏教の伝来とともに日本に輸入されまし た。また、船に乗せられた理由は、仏教の経典 がネズミにかじられるのを防ぐためだったとい われています。
 ネコからうつる病気を紹介しましょう。

《イヌ・ネコ回虫症》(Toxocariasis)
 動物の回虫がヒトへ感染する経路は複雑です。 イヌ・ネコの糞便から排泄された虫卵が口を介 して感染するパターンと、イヌやネコが回虫に 感染した家畜の生の臓器(肝臓や肉の刺身など) を食べて感染するパターンがあります。公園の 砂場にはネコ回虫やイヌ回虫の卵が入った糞便 が多くあることが知られています。東京の砂場 を調べた結果、最高で42%のネコ回虫の卵が見 つかったという報告があります。この高い汚染 率で、マスコミは「砂場が危険だ」という報道 をしました。そして砂場の消毒やネコの侵入を 防ぐ措置がされましたが、その後の調査から、 砂場から子どもへの重大な感染はそれほど問題 にならないことがわかりました。それは子ども の手洗いの励行や免疫力の強さから、感染はそ れほど起きないと考えられています。
 もう一つの感染経路である、家畜の肝臓や肉 の刺身を食べたほうが問題になるという報告も 出ました。
 ネコ回虫は長さ3〜12cm、イヌ回虫は長さ4〜1 8cmの細長く白っぽい虫です。ネコやイヌでは一 般的な寄生虫で、世界中に分布しています。日 本ではヒト回虫症はほとんど発生していません。 動物の回虫卵が健康上問題のないヒトの体内 に入った場合はほとんど心配いりません。しか し、免疫力の弱いヒトや幼児では、虫卵が腸の 中で孵化し、回虫の幼虫が肝臓・目・神経など 全身の内臓に移動していろいろな症状が出てし まうことがあります。目に進入した場合には視 力障害が起こり、神経に進入した場合には運動 障害が起こります。回虫駆除剤による治療が必 要です。

《Q熱(コクシエラ症)》(Q fever)
 10数年前までは、Q熱は日本には存在しない と考えられていました。最近では体がだるいと 学校を休んでいた子供を病院で検査したところ、 Q熱の感染がわかり治療により良くなった例も あります。家畜には多くみられていましたが、 ペットからの感染が考えられるようになりまし た。
 病原体はコクシエラ菌で、感染力が非常に強 く、乾燥状態でも長く生き続けます。
 ヒトの慢性Q熱は、長期にわたる疲労感、不 定愁訴がみられ、やる気が起きない慢性疲労症 候群と関係しているという報告もあります。動 物の場合には、感染していても無症状の場合が ほとんどですが、妊娠している動物は死流産の 原因となる可能性があります。
 予防は、ペットとの過剰な接触を避け、触れ た後は必ず手を洗い、口移しでの食事は避けて 下さい。

《疥癬》(Scabies)
 イヌセンコウヒゼンダニ、ネコショウセンコウ ヒゼンダニが病原体で、イヌ、ネコから感染し ます。ヒゼンダニは昆虫の仲間で、イヌ・ネコ をはじめ、ウサギやウシ・ウマ・ヒトにも特有 のヒゼンダニがいます。それぞれ、皮膚の下に トンネルを掘り、一生涯をその中で生活します。 ヒトのヒゼンダニは、お年寄りや病弱で免疫 の弱いヒトに感染します。非常に強いかゆみを 伴います。感染源の動物と接触しないことが大 切です。治療は、抗疥癬薬です。

《ネコひっかき病》(Cat Scratch Disease)
 ネコにひっかかれたり、咬まれたりした後に 発症する病気です。病原菌はバルトネラ菌で、 ネコ、イヌから感染しますが、ノミに刺された りしても感染します。
 ヒトに感染すると、発熱やリンパ節が腫れた りしますが、ネコではほとんど無症状です。動 物と触れ合う子どもに多く、15歳以下が半分を 占めています。発生時季は7〜12月にかけて多く みられます。
 予防は、動物と接した後の手洗いや消毒です。 治療には抗菌薬を投与します。

《トキソプラズマ症》(Toxoplasmosis)
 ネコの糞便や熱処理されてない肉の中にいる トキソプラズマが、ヒトの口から入ると感染し ます。健康であれば症状が出ないか、軽度の症 状で済みますが、妊娠中や病気で抵抗力が落ち ているヒトでは症状が重く出ることがあります。 欧米では、ネコからの感染よりは生肉を食べる ことで感染するケースが多いといわれています。 予防は、ネコは家の中で飼い、トキソプラズマ に感染している生肉を食べさせないことです。 またトキソプラズマは、冷凍しても死なないの で、肉は必ず過熱してから食べるようにして下 さい。

 可愛いペットとの共同生活は、できる限りペッ トの病気や生活様式、生活範囲などを把握し、 楽しいペットとの生活を楽しんで下さい。



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