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「ペットから病気がうつる?」―輸入動物からうつる―
日本は、最近輸入動物大国になってしまいま
した。昭和40年代は、ペットショップといえば、
文鳥、十姉妹、インコ、金魚、メダカ、エンゼ
ルフィッシュぐらいでした。それが今では、ハ
リネズミ、大型オウム、チンチラ、古代魚、ヘ
ラクレスオオカブトムシ、オオトカゲなど、昔
は動物園でしか見られないような生き物がペッ
トショップで売られるようになりました。
アメリカや中国、イギリス、フランスなどは、
自国の生態系を守るために、商業用動物の輸入
を禁止しております。ところが、日本は時代に
逆行して、外国にしか生息していない動物を輸
入したために、日本古来の生態系にも多大な影
響を与え始めています。どうして日本だけがこ
のように時代に逆行しているのでしょうか?
答えは簡単です。買う(飼う)人がいるから売
る人がいるのです。輸入された動物は、慣れな
い気候や環境の中で暮らすことになり、その動
物にとっても喜ばしいことではありません。ま
た新たな感染症が、輸入動物と一緒に輸入され
て来る危険も高まっています。
《サルモネラ症》(Salmonellosis)
サルモネラ菌は、病原性大腸菌症、腸炎ビブ
リオとならび三大食中毒症としてよく知られて
います。通常は、サルモネラ菌に汚染された肉
や卵により感染します。食中毒以外では、健康
な爬虫類(ミドリガメ、イグアナ等)の腸内に
保菌していることが多いので、カメなどを飼育
することが多い子どもの十分な注意が必要です。
特に輸入したての小さなミドリガメは、無症状
のことが多いので注意が必要です。
最近では、イグアナも飼育する人が増えまし
た。鳴かないから静かで近所迷惑にならない、
散歩しなくても良い、手間がかからない、値段
が手頃であるなどの理由で飼われており、小児
への感染が心配されています。
サルモネラ菌は環境内に広く分布しており、
ウシ、ブタ、ニワトリなどには10〜30%、イヌ
やネコには3〜10%、カメでは50〜90%が感染し
ているという報告もあります。
また、サルモネラ菌は河川、池、下水などの
自然界にも広く分布している細菌で、乾燥に強
く、土壌中でも数年間生存できる強い細菌です。
人に感染すると、8〜48時間で腹痛、下痢、発熱
が起こり、重傷になると粘血便を排出するよう
になります。病気にかかっているヒトや、お年
寄り、免疫力の弱っているヒトなどが感染する
と、死亡に至ることもあり注意が必要です。
食中毒としての発生報告が主なので、7〜9月
に感染が多いといわれています。
予防は、ペットに触れた後には必ず手を良く
洗うことです。特に小さな子どもさんは、爬虫
類には触れさせないようにして欲しいものです。
§、動物由来感染症の予防方法
「過度な接触は避けるように」これが基本で
す。
動物好きには動物とのスキンシップは欠かせ
ない愛情表現です。可愛がっているペットにとっ
ても、飼い主とのスキンシップはとても嬉しい
行為と思われます。
その接触の程度に関するボーダーラインは、
大変難しいところですが、日本医師会から出版
している「動物由来感染症ハンドブック」の執
筆者である獣医学博士の兼島孝先生は「友達と
同じ感覚で接してください」と説明しています。
つまり、友達とは手をつないだり、軽いスキン
シップはしますが、口移しでご飯を与えたり、
年中寝室まで共にはしないでしょう。また、一
緒に遊んだあとは、家に帰ってから手を洗い、
うがいをしたりします。それと同じようなこと
を実践すれば良いのです。それでほとんどの
「動物由来感染症」は防げます。
また、動物を飼育し始めてから飼い主の調子
が悪くなったら、受診した医療機関でその動物
の種類や飼育歴、状態などを話すことも大切で
す。同時に、動物も調子が悪くなったら、医療
機関と動物病院のどちらにもお互いの調子をお
話しすると、解決の糸口が見えてくることもあ
ります。
航空機等の交通手段の発達により、海外との
距離が縮まり、地球上のどの地域にも比較的短
時間で行き来ができるようになりました。その
結果、世界的に動物由来感染症は制圧の方向で
はなく、むしろ新種の発見や、過去の感染症の
再興が問題になってきており全世界的に増加傾
向にあります。
ここ数年見ても、マレーシアのブタのニパウ
イルス感染症(ブタとヒトの致死性疾患)、オー
ストラリアのウマのヘンドラウイルス感染症
(ウマとヒトの致死性疾患)などは、教科書に
も載っていなかったくらいの新しい感染症です。
また、ニューヨークのウエストナイル熱の発生
は過去の感染症の再興といわれています。
日本でも次期に心配される感染症があります。
ペットに関連して問題になるのは、狂犬病、ペ
スト、野兎病、エコノコックス症などの再興と
思われます。
また、蚊を媒介する病気であるウエストナイ
ル熱、マラリア、デング熱などは、明日にでも
日本に入り込んで流行しても不思議ではありま
せん。日本に侵入してから大慌てしないように、
まず動物由来感染症に関する知識をつけて、感
染を防ぎましょう。
参考文献:「動物由来感染症ハンドブック」兼
島孝(獣医学博士)執筆日本医師会発行
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