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「海外での感染症を予防するために4」―性感染症―
1、海外性感染症の基礎知識
性感染症とは、性行為により感染する疾病
の総称で、梅毒などの古典的な性病から、淋
病、クラミジア感染やHIV感染症(ヒト免疫不
全ウイルス感染症)なども含まれます。
海外といういつもとは異なる心理状況で、
ついハメをはずし、行きずりの性行為や不特
定多数の人と性行為を持つ旅行者も少なから
ず存在します。旅行者のうち約5%が行きずり
の性行為を持つという報告もあります。
2、性感染症での問題点
@感染しても無症状のこともあり、知らない
うちに他人に感染させてしまいます。
A梅毒やHIV感染のようにゆっくりと発症する
ものがあります。
B帰国後の検査ですぐに陽性に検出されない
ものがあります。
C世間体から、早期ではなく病気が進行して
から受診し、治り難いことがあります。
3、性感染症の予防法
性感染症は、予防できる疾患です。行きず
りの性行為をしないこと、不特定多数の相手
との性行為を避けること、特定のパートナー
と性行為する際もコンドームを適切にするこ
となどが注意すべき点です。
また、性行為以外でも血液を通して感染す
ることもあり、海外で注射をする場合は、針
が使い捨てかどうかの注意が必要です。交通
事故などで輸血が必要かどうかは慎重な対応
が必要です。心当たりのある方は、症状の有
無にかかわらず早めに専門医への相談をお勧
めします。
4、主な性感染症の特徴
@梅毒:感染して3週間で、硬いしこりが性器
や口唇にできます。潰瘍やびらんがあること
もあり、痛みは一般的にはありません。やが
てリンパ節の腫れ(6週間後)や全身の皮膚に
淡紅色の皮疹(9週間後)ができます。感染し
ても4週間は検査で陽性に出ません。
A淋菌感染症:感染後1週間以内に発病します。
男性は尿道から膿が出てきて、排尿時に焼け
付くような痛みがあります。女性は軽い痒み、
おりものの増加、卵管炎による腹痛などがみ
られます。症状が軽いことも多いので注意が
必要です。
BHIV感染症:ここ数年、日本では性行為によ
る感染が急増しています。HIVは血液、精液、
膣分泌液、母乳などによって感染します。感
染後約半数の患者が1〜2週後に高熱、皮膚発
疹、リンパ節腫脹等の急性感染症状を呈しま
すが、まったく症状に出ない人も多いのです。
その後半年から20年後(平均10年)に免疫不
全の状態に陥り、日和見感染と呼ばれる様々
な感染を起こします。血液中の抗体検査は鋭
敏な方法では感染後約3週間で陽性になります
が、疑陽性もあり必ず確認が必要です。
CB型肝炎:性行為や血液を介して感染します。
性行為や刺青、注射針の共用や母子間でも感
染が起こります。中国、東南アジア、アフリ
カ、南アメリカで感染者が多く、渡航前に予
防接種をすることや、行きずりの性行為は止
めましょう。
Dクラミジア感染症:若い世代に急増してい
ます。性行動をとる若者の4〜5人に1人はかかっ
ているといわれています。男性では尿道炎症
状で発見されます。女性は自覚症状が乏しく
感染に気づかないことも多いです。クラミジ
アは不妊症の原因になります。また子宮頚癌
の発症に影響しているようです。非常に感染
力が強く、女性から男性の場合、1回に性交渉
で約30%が感染するといわれています。
Eその他:軟性下疳:性器に潰瘍やできもの
ができる。鼠経リンパ肉腫:性器の小水泡後
鼠経部が硬く腫れる。性器(陰部)ヘルペス:
単純ヘルペスウイルスが原因で性器の水泡や
潰瘍を伴い排尿時に激痛がある。
以上のように、旅行者は外国に来ていると
いう異なる心理状況の中で、旅行先での様々
な出来事に遭遇します。大切なのは自制心と
ご自分の行動に責任を持つことです。帰国し
てから家族や友人に迷惑をかけないように最
大限の注意をして下さい。心配なことがあれ
ば、勇気をもって早急に適切な検査や処置を
行うことです。
T、発熱
1、発熱症状を起こす病気
発熱は、特に途上国を旅行中の場合には、様々
な感染症の可能性があります。多くは、上気
道炎(風邪)ですが、高熱の場合には、マラ
リア、デング熱、黄熱、腸チフス、ペスト、
エボラ出血熱等の重症化すると生命にも関わ
る重要な疾患もありますので注意が必要です。
また発熱と同時に発疹が出たり、発熱後に発
疹が出たりする場合は、麻疹、ツツガムシ病
なども考えられます。
2、発熱と同時に別の症状を起こすことも
熱が出た場合に、本人の外見上の元気さも
一つの目安になります。元気がなく、ぐった
りとするようなら早めに医療機関を受診した
方が良いでしょう。また、小児やお年寄りの
場合は、急激に脱水を起こすことがあり、十
分な注意が必要です。とくに発熱の場合には
水分補給が大切です。
いずれにしても旅行以前に、旅行先で流行
している疾患がないかなどの情報を収集する
ことが必要です。また予防接種や予防内服が
可能なものは準備しておきましょう。
(社団法人日本医師会発行「海外旅行必携ハ
ンドブック」より転載)
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