2004年
1月1日発行
No.102
インフルエンザ 予防ワクチン

  一昨年、群馬県下各地方で、一定の負担金額の下にインフルエンザワクチンを注射出来るシステムが導入されました。私の所でも約100名の方が注射を受けました。他市町村の方で、注射が受けられなかったり、また全額負担して、当院で注射を受けた方もありました。
 平成15年は各市町村が協力し、県内どこの医療機関を患者さんが希望しても、予防接種が可能となりました。これは予防ということに関しては大きな進歩でした。
 私の所でも希望者を予め想定し、必要分確保しました。私の医院では老人の方の約半分が接種し、この冬は約130人に達しました。11月下旬でほぼ終了しましたが、この時点で薬問屋さんの在庫はなくなり、12月に新たに注射を希望しても不可能となりました。お断りした方々には深くお詫び申上げます。
 一昨年より昨年はじめにかけて、当院に来院した高齢者のインフルエンザは見掛けないようでした。数人若い人で高熱を来たし、インフルエンザ症候とみられる人はありましたが、皆、数日から7日程度で改善致しました。全国的にも高齢者の重症感染例は少なく、一定の効果があったのかもしれません。
 平成15年初頭のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行により、これとの鑑別のためにインフルエンザワクチンを注射しておくと有利であるとの考え方があります。しかし、決してSARSにワクチンが有効なわけではありません。予防接種でインフルエンザは約三分の一の罹患率となり、重症化を防ぐ効果はありそうです。
 インフルエンザは発症初期の診断が困難で、この診断キットが普及していますが、初期はウイルスが少なく、陰性となってしまうこともあるようです。また、抗ウイルス薬としてアマンダジン、リレンザ、タミフルなどがありますが、決して万能ではありません。発症後24時間以内ならば発熱期間が一日短くなるそうです。
 罹る前の予防、うがい、防寒、人込みに出ない、体力の増強などが最も必要なことと考えられます。
(院長)