2004年
3月1日発行
No.103
家庭血圧

 最近、いろいろなタイプの血圧計が電気店に並んでいます。私もしばしば自分の腕や指などに巻いて測定しています。私の腕は標準的で、過去いかなる場所でも血圧はほぼ一定で、急上昇、急降下の経験はありません。多くの血圧計は正確でした。
 最近、患者さんが持ち込んだ血圧計が、当院の水銀柱を用いた血圧計に比し、かなりの誤差があることに気付きました。長い間使用しているうちに、購入時より性能が変化していく可能性があります。
 日本高血圧学会から「家族血圧測定条件設定の指針」が示されています。
 指針1:上腕(ヒジより上)に巻く血圧計を用いる。
 指針2:腕帯(カフ)は軽い性質のものを使用する。カフが心臓の高さにあるようにする。筋肉の緊張をとるため、前腕を机の上などに置く。
指針3:記録計のある装置では、聴診で得た値との較差が5mm水銀柱以内とする。
指針4:朝の場合、起床後1時間以内、排尿後、座位1〜2分安静後、服薬前、朝食前である。
    晩の血圧は起床前。座位1〜2分の安静後とする。
指針5〜7にかけては、もう少し細かな条件がありますが、ここでは省略します。
指針8:家族血圧は135/80mmHg(水銀柱)をもって高血圧と診断し、135/85mmHg以上ならば確実な高血圧として降圧治療の対象とする。125/80mmHg未満を正常な家庭血圧とする。
 最後の指針8は、意外と厳しい値です。私の医院では通常140/80mmHg位では降圧剤を投与していません。150を確実に越えない限り、一時的に様子をみます。防御反応、警鐘反応に由来すると考えられる白衣効果などの影響が出るからです。
 また健康診断で異常高値を指摘された患者さんが来院、当院で何度測定しても確実に正常範囲になることもしばしばあります。白衣効果であるにせよ、180〜100mmHgを越える場合がしばしばあれば、他のストレスのある環境下でも血圧上昇の恐れがあり、治療の必要の可能性があります。この時に家庭血圧測定との比較検討が重要となります。
(院長)