2004年
5月1日発行
No.104
物忘れの相談

 痴呆の初期症状の早期発見、早期対策はいろいろな病気と対比しても重要なようです。最近、痴呆を専門に取り扱っている医師の中で、物忘れチェック外来を行っている諸先生がおられます。すこし物忘れが目立ってきた方々を「痴呆の始まりである」とか、「ぼけてきた」と決めつけるのは誠に人格を無視したことです。当人にとっては自尊心を傷つけられ、反発し、自分の“カラ”に閉じこもることになります。
 家族の方が気づく記憶障害、認知障害というものがあります。記憶障害とはたとえば次のようなものです。
@同じことを何度も言ったり、聞いたりする。
A置き忘れや、しまい忘れ。物品が盗まれたと言うようになる。
Bガス栓を締め忘れる。やかんを焦がす。
C薬を飲み忘れる。
D一度に二つのことが覚えられなくなった。
 一方、認知障害とはむずかしい表現ですが、物事をはっきり認めることが出来ないことで、例えば、次のようなことを示します。
@話すときに言葉が出にくい。こみいった話が理解できない。
A通いなれた道に迷う。家の中でトイレがわからなくなる。
B自動販売機に硬貨を入れて、品物を取り出せない。紐を結んだり、服のボタンがはめられない。
C買い物でつり銭の計算ができない。
 上のような症状がゆっくりと悪くなっている時や、脳に関係したほかの病気がないときにはアルツハイマー型の痴呆が考えられます。また、物忘れ状態があってもすぐ思い出せたり、関連した事柄から思い出せ、他人との付き合いも普通にできれば心配ありません。
 薬を予防的に飲むことも考えられますが、毎日を空虚に過ごさず、運動をしたり、趣味を持ったり、友人と明るく過ごすことも必要です。
 次回は痴呆のリハビリテーションについて記してみたいと思います。
(院長)