2004年
11月1日発行
No.107
肝臓病について

 脳神経外科を開設して30年になりますが、その間には、私の治療していた患者さんに肝炎が発見され、肝臓癌になって亡くなられた方もあります。私自身も15年前に軽いA型らしい肝炎に感染しました。一応軽快したとはいえ、現在、加齢と共に脂肪肝となり、アルコールを拒否する体質となりました。
 頭の事とは直接関係はないのですが、しばらく肝臓の話を続けたいと思います。 この15年間に肝臓病の診断や治療は大変進歩してきました。私が開業した頃は、A型肝炎は明らかになっていましたが、それ以外の肝炎については非A、非B型という奇妙な名前がつけられていました。その後、B型肝炎が明らかになり、15年程前にC型肝炎ビールスの発見が確定し、診断技術が年々進歩してきました。その後、D型、E型まで発見するに至りましたが、日本においては頻度は非常に稀なので、ここではA型、B型、C型肝炎について記し、そのほか薬物性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝などについて述べていきます。
肝臓は右上腹部の肋骨の内側にあり、横隔膜により固定されています。呼吸により上下に動きます。腹部に大量に脂肪が着いた人でなければ、外側から肝臓に触れることもできます。色は鮮やかな赤褐色をしていて、表面はなめらかです。売られている鶏や豚の新鮮なレバーと外観は変わりません。この赤い色は多量の血液を含んでいるからです。 肝臓は胃、腸、膵臓、脾臓と門脈という太い静脈でつながり、腸で吸収された栄養分は直接肝臓に運ばれます。肝細胞により栄養分が吸収され、体に役立つようにいろいろな成分を合成したりします。肝細胞の中にはたく'さんの酵素が含まれています。よく知られているものにGOT、GPT、アルカリフォスファターゼなどがあり、肝細胞に障害があるとこれらの酵素は血中に流出します。
(院長)