2005年
1月1日発行
No.108
B型肝炎について

 当院に通院中の方で、肝機能検査を行っている時に、非常に少ない頻度ですがB型肝炎やC型肝炎の方が発見されます。輸血歴がなくても、知らない間に感染することがあります。

く感染の種類〉
垂直感染:母親が肝炎に感染中(HB e抗原陽性)の場合、90%の確率で感染し、出生児はキャリア(感染させる能力)となります。症状のないH B S抗原キャリアもく時に急性肝炎症状を示すこともあります。
水平感染:過去の予防接種をはじめとする注射器、注射針の反復使用、性交渉、いれずみ、薬物常用者による汚染された注射針の場合があります。
一過性感染:健康成人ははじめてB型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫反応によりウイルスは排除されます。色々な過程を経てHB e抗体が出現します。その後HB S抗体が陽性になります。
(私も過去40年位前に、手術後の患者さんの臓器や血液に素手で触れていたため、知らない間に感染し、この抗体が陽性となっています。)
 B型肝炎の慢性化という現象がその次にあります。細かな過程は省略しますが、原則として、新生児期、乳幼児期によるキャリアからの発症です。全身倦怠感、疲れやすいなどが多くみられます。肝が腫大することが多く、肝の酵素の値が上昇します。H B S抗体が陽性ならば診断が確定します。
 そのほか、ウイルスに関する検査はたくさんありますが、ここでは省略します。更には腹腔鏡検査や、肝の生検(直接肝臓組織を採取)をします。
<治療法〉
治療は無理をしない事を原則として、アルコールを避け、脂肪肝とならないようにバランスの良い食事にします。
薬は肝の加水分解剤、甘草の成分グリチルリチンなどがあります。注射剤ではインターフェロンがあります。しかし有効なものは20%足らずです。
一部の人は肝硬変に移行しますので、いろいろな治療法が現在でも研究されています。20年位経れば、かなり期待できると考えられます。
(院長)