2005年
3月1日発行
No.109
C型肝炎について

 我が国ではC型肝炎ウイルスの持続感染者が100万人から200万人存在すると推定されています。症状がないために、自分自身の感染も知らないで、数十年後に肝硬変や肝癌に移行する
人もあります。当院でも、これまで何人かの方々が感染し、不幸な転帰をとられた方もありました。

<感染経路>:輸血、血液製剤を用いたり、40年以上前の予防接種などによる同一針の繰り返し使用によるもの、医療従事者の針刺し事故、いれずみ、覚醒剤注射のまわし打ちなどがあります。臓器移植による感染の可能性も残っています。

<症状>:急性期には発熱、全身倦怠感、悪心嘔吐、黄疸が出現する場合もあります。ただし自覚症状のない人も大勢あり、問題を複雑にしています。

<診断>: HDV抗体とHCVRNAを検出すること、感染の可能性がある場合、陰性であっても1〜3か月に再検をすることです。また、健康診断の血液検査のスクリーニング検査も必要です。

<治療>:インタ_フェロン投与で著効を示す例もありますが、全く反応しない場合もあります。年余にわたり治療中、肝癌に至る場合もあります。インターフェロン製剤も徐々に改良がなされており、投与法も簡便になっています。しかし副作用も未だ頻発しており、その主なものには精神のうっ状態、間質性肺炎などがあります。

<予後>:C型肝炎の自然治癒例は少なく、 O.2〜0.3%位で、前に繰り返し述べたように徐々に悪化する例が多く、インターフェロン投与中無反応であった場合、肝癌の発生率が高くなっています。肝硬変に移行する例も多く、いったん進行した場合、症状を停滞させることは困難です。
(院長)