2005年
7月1日発行
No.111
糖尿病の予防と対策

 わが国の40歳以上の11%以上の人、さらに糖尿病予備軍の人を合わせると1600万人に相当する耐糖能異常者が存在します。現在、食生活がカロリー過多の時代で、今後増加する可能性があります。
 糖尿病の初期は自覚症状に乏しく、口渇、多飲、多尿に気付いた時にはかなり進行していると考えられます。合併症として眼底の変化、腎機能の低下が頻発します。静脈血漿血糖値測定により、
@不意に採血してときの血糖値が200mg/dlを越えた場合
A早期空腹時血糖が126mg/dl以上の場合
B75gブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dl以上の場合…は糖尿病と確定します。
 負荷試験で1時間値が180mg/dl以上の場合は悪化する可能性があり、充分注意が必要です。その他にHbA1cという検査が指標によく用いられます。5.8未満は正常ですが、それを越えると注意しなければなりません。8.0以上は血糖値を早急に改善維持しなければなりません。
 体重の減量も状態に応じ必要です。身長に合せた体重、BMIという指数があり、22位が良いとされています。
 血圧は130/80位に維持、血清脂質も適正に維持する必要があります。
 食事療法が最も基本となりますが、炭水化物、脂質、ビタミン類、ミネラル類、特に食物繊維も充分に必要です。注意しなければならないことは、折角甘いものを避けているのに、過剰に脂質を食しカロリーが増加してしまうことです。
 運動療法も次に重要な事柄ですが、効果を充分に発揮するにはかなりの負荷をかける必要があります。高年齢になると、心肺機能の低下、腰痛や関節の故障が存在しますから、それぞれ個人で可能な範囲で設定する必要があります。
 アルコール、タバコを好き放題にし、食事のバランスが悪く、生活が不規則な方で、40歳台で脳梗塞となり来院し、糖尿病が検出されて驚き、悔やんでも間にあわない事もあります。
(院長)