2005年
9月1日発行
No.112
自らの体調を知る

 毎日同じような食事をとり、同じような生活をしていれば、体重の変化は少ないはずです。
 排便の色も同じです。腹部に癌や潰瘍があれば、少量の出血でも便が黒色に変わり、これが長い間続けば体重減少を来たします。出血が少量であれば、体がだるくてもあまり異変がないように感じられます。このような時に来院し、軽度の貧血で顔色が悪いということから異常が発見され、疾患の原因追究がされた場合もあります。
 医師は、毎月定期的に通院している方なら、来院の都度、顔色や体調などを把握するよう努めています。ですから、薬だけ処方してもらえれば良いなどとは考えないで戴きたいと思います。
 最近、体調不良となりながら、これを自覚しなかったため、かなり重症状態になってしまった方がいました。尿の色が通常より褐色となり、多少の違和感もありながら、1週間を経過してから来院しました。その日、午前中は老人会の方々とスポーツを楽しみ、夕刻に来院したのですが、尿の色の変化や自分で気づいた皮膚の変化について述べた時には、著しい変化がすでに進んでいました。早速、日赤病院にお願いし、治療と検査を依頼しました。
 過去にも、当医院では比較的専門としている脳や神経系統の病気の変化にっいてはとくに注意して発見し、対処してきました。しかし、開院以来30年を経るうちに、医学も進歩し、全般的に病気に対する認識や治療も変化してきています。
 病気の早期発見が大事だからと、患者さんに検査を頻繁に勧められない現状もあります。政府は老人医療費が増えることに困惑し、診療に対してさまざまな制限をおこなうようになりました。患者さんも、病気にならないように、ある程度は体調を自己管理する必要性が増してくる時代になりそうです。肥満の予防、甘い食事の制限、適度の運動、痴呆にならないように努めるなど、課題はたくさんあります。私も、出来るだけ健康管理に対し助言を行おうと考えています。
(院長)