2006年
1月1日発行
No.114
めまい、嘔気、耳鳴りについて

 高齢化が進むにつれて、めまいや耳鳴りなどを訴える患者さんは、当方の外来でも徐々に増加しています。単にめまいのみを訴える場合、まず第一に全身状態の変化がないか、患者さんの血圧、顔色、心臓の状態をよくチェック致します。突然の高血圧症や低血圧症は当然のようによく出現します。顔色が悪い場合、当院でもしばしば鉄欠乏症の貧血の方がおられます。これに伴って、高齢者の場合、癌が基礎疾患として存在することもあります。
 脈拍や心臓の様子にも日常注意を払っています。頻脈や不整脈があり、脳の血流に二次的変化を起こし、めまいを生じる場合があります。
 高齢者は日常的に軽い不眠が続いたくらいでも、めまいやふらつきがあります。困った時、不安な症状が続き、ストレスが加わった事により、めまいも生じます。
 これらのめまいの原因以外にも耳鳴り、難聴等の症状がみられる場合もあります。この場合は、耳鼻科領域の障害の結果生ずるもので、ふらつきの様子、耳鼻的検診(聴力テストや耳の中に冷水や温水を入れて眼球の動きをみる検査など)を参考に致します。
 特殊な場合には、聴神経に腫瘍が生じて上記の症状が出現することがありますが、頻度は少ないものです。いわゆるメニエル病と言われる末梢性の前庭と言われる内耳の障害によるものが多く、めまい全体の4〜5割位に達すると言われています。
 めまいは、一般的に、よく吐き気を伴い、胃や腸の疾患ではないかと患者さん自身が誤解してしまうこともあります。
 上記のめまい以外は、全てが脳に由来すると考えたいのですが、実際には原因を突き止められない場合も多数例認められます。高齢になると白内障になり、視力の低下、位置の障害なども一時的にめまいやふらっきの原因になると言われます。患者さんが医師に受診する時に、自分の症状がどのようにして生じ、どのように変化してきたかなどを細かく述べていただくと、医師は診断に非常に助かります。
(院長)