2006年 3月1日発行 No.115 |
メニエル病 過労やストレスが誘因に |
めまいの原因として、メニエル病が以前より患者さんにも広く知られています。診断や治療は耳鼻科で行われますが、時には頭に由来するものがあり、判別困難な場合もあります。
メニエル病の本態は耳の最も奥深い所にある内耳という器官の病変です。ここでは音を電気的刺激に変換して脳に伝える部分と、体の平衡を判別する部分があります。音を伝えるリンパ液の流れはカタツムリのような形をしており、その内部で内リンパ腔と外リンパ腔とに分けられています。このリンパ液の成分の変化により、内リンパ腔が腫れてしまいます(水腫)。その結果、めまい、難聴が出現します。
診断のために、患者さんの話をよく聞きます。定型的なめまいは回転性ですが、時にはふらつきのような場合もあります。また難聴は耳がっまったような感じがしたり、音に過敏になったりします。時には過労、睡眠障害、精神的ストレスが誘因になります。
内リンパ膣の水腫を検出するために、利尿剤のフロセミドやグリセロールを用いることもあります。また耳鼻科では蝸牛の電気的性質を調べる検査を行うことも出来ます。
治療は内リンパ液の水腫を軽減する目的で行われます。まず第一に鎮静剤の投与があります。めまいは一度でも体験すると非常に大儀で、同時に出現する嘔気や不安感を取り除く必要があります。次いで、浸透圧利尿剤が用いられます。
日本ではイソリルビドという液体の薬が多く用いられます。またグリセロールの点滴も有効です。難治例には手術治療もあるようです。内リンパ嚢に穴を開けたり、前庭神経を切断する方法や、切断することも試みられています。
めまいが強いと日常生活に非常に支障を来たします。メニエル病においてはストレスも大きく関与しています。患者さん自身がこれをコントロールする必要があります。無論、医師も大いに力になったり、協力する必要があると思います。
(院長)