2006年
7月1日発行
No.117
骨粗鬆症について

 五月下旬、日本の骨粗鬆症の専門家の一人、折茂博士の講演を聞きました。非常に多方面にわたる医学的な知識を得ることが出来ました。
 私たち人間は骨格と筋肉がしっかりしていないと立つことも出来ず、いろいろな動作にも支障が出ます。どなたも老化し、血管、内臓、脳や神経組織、筋肉、骨格の変性を来たします。人によりそれぞれその程度は異なっています。このうち特に体の動きに大きく影響を及ぼすのは骨の老化です。
 知らず知らずのうちに骨の密度が薄くなり、ちょっとした転倒事故で、大腿骨頸部骨折、腰椎の圧迫骨折、手首などの骨折がみられます。
この中でも大腿骨頸部骨折では骨折後に寝たきり状態になる方が25%に達するそうです。一般には骨粗髪症は女性に多いといわれていますが男性にも当然出現する 病状です。油断をしないようにしましょう。
この病状は食事や環境により大きく影響されます。無理な姿勢で労働したりすると腰や背中が曲がったり、脊椎の圧迫性変化を生じます。この変化はなかなか治療困難なことが問題です。治療にはいろいろな薬剤が開発され、年々進歩していますが、根本は骨粗鬆症の予防が最も大切だと考えられます。日本の健康保険では予防的治療は許可されておりません。したがって現在のところ、患者さん自身が老化について知識を深め、日々の食事内容に注意し、野菜、小魚、牛乳、豆腐などバランスの良い食品を摂ることが大切です。特に納豆はビタミンK。を含んだ食品として知られ、折茂博士もこれが骨粗髪症に効果があることを学問的に証明しました。
 納豆を多く食べる地域は骨粗鬆症による骨折頻度が減少するそうです。また、カルシウムを体内に摂取しただけでは、高齢者には充分に骨に蓄積しないそうです。
 アレンドロ酸系の薬剤が特に骨へのカルシウムの吸収に有効といわれています。しかし、これは高齢女性のみ有効とされ、使用が制限されています。どこの医療機関でも患者さんにより適当な薬が選択されて治療されております。
(院長)