1989年
1月1日発行
No.12

               

     明るい未来を希望して

新春にのぞみ、職員一同本年も気持をあらたに皆様のために診療に従事したいと存じます.

現在日本は経済的には安定し、比較的安易に平和な状態を享受していると考えます.時々、昭和20年、前橋が空襲で大火災を生じた事を想い出しますが、戦争や核の恐ろしさを一層肝に命じた日がありました.

昨年11月26日、「ホピの予言」という、宮田雪監督のもとに製作された映画を見た時です.凍てつく寒さの中、夜八時、富士見村の未来スタジオに小学6年の長男と出掛けました.アメリカ大陸、中西部の不毛の山岳地帯に住む、アメリカインディアン、ホピ族の物語りです.我々からみると現在の日本で彼等のような生活を誰もしていないと思います.

文明から切り離された生活をしていても、彼等にとっては何百年にわたる祖先から受けついだ確かな精神生活があるのです.彼等が祖先より受けついだ土地から、今アメリカ政府により、立ちのきをせまられています。何故なら地下に膨大な資源があるからです.その一つにウランがあります.広島、長崎に落とされた原子爆弾の材料が、ここで得られたのです。

放射性障害を被った人達は広島、長崎ばかりでなく、米国の採掘、精錬に従事した人々、軍人までも被害を受けている実態に驚きました。ホピの人達は人間が正しく有効に用いることが出来るまで、地下資源を掘り出すことに反対しています.さもなければ、戦争に用いられたりして人類が破滅すると予言しています。平和利用でさえ、ソ連の原子炉の事故のように危険な場合があります.日本でも実際には原子力を用いなければならないような社会体制になっています.もう一度国民の総意で将来も原子力に頼るかよく考えて欲しいと思いました。

とにかく、米国やソ連が、原爆の製造を中止し、世界中の如何なる所でも、争いを中止して、そのエネルギーを世界の人々のために、医学的難問解決にそそいでみたら、素晴らしい世の中になるでしょう.早く正夢となって欲しいものです。

                               (院長)