2007年
1月1日発行
No.120
前立腺肥大症

 脳外科外来なのに、何故こんな話題になるのでしょうか? 実は男性老人の方々が当院にたくさん受診されています。かなりの方々が様々な重大な問題をかかえておられます。排尿障害もその一つであります。
私も72歳となり、前立腺肥大を伴っています。若い時に比し、排尿時間は大分延長しました。前立腺肥大がある程度の大きさで停止していれば助かりますが、更に腫大すると残尿といって、いつも古い尿が膀胱にたまるようになります。
これが200〜300mlになると突然急性尿閉などを来たしたり、進行すると腎機能障害を伴うようになります。この状態に至ると手術治療も考慮しなければなりません。
前立腺肥大予防、排尿障害のために現在いろいろな薬が開発されて、患者さんの日常生活改善に役立っています。
前立腺肥大だけで済んでいるうちは良いのですが、知らずに前立腺癌になっている場合があります。前立腺肥大が認められる場合、前橋赤十字病院等、専門医に紹介しております。
現在、P S Aという前立腺特異抗原の値が簡単に検査出来ます。4.0r/mlの濃度以下であれば正常範囲ですが、 4〜10の間では癌の可能性が20%位、10以上は50%の可能性となります。
泌尿器科では生検といって前立腺の組織を直接採取し、病理組織検査をします。これにより癌の診断が下された場合でも、現在早期に治療を開始すれば、有効な薬物治療があります。無効な場合、放射線治療もあり、よい成績が得られています。
当院に通院中の患者さんで、前立腺癌の診断を受けた後、治療をし、元気に過ごしておられる方々が年々増加しています。適正な治療を受ければ、心配する必要はありません。PSAの危険な値を得ながら、数年放置したため、癌が進展し全身に転移してしまい、亡くなられた方もあります。何か気になる症状にお気づきの方、専門外ですが、ご相談に応じようと考えています。気軽に質問して下さるようにお願いします。
(院長)