2007年
9月1日発行
No.124
動脈硬化性疾患の予防

  日本動脈硬化学会より「動脈硬化疾患予防ガイドライン」の改訂が行われました。今までに日本人を対象とした研究が行われてきました。
これにより、低比重コレステロールの値と冠動脈(心臓自身の栄養を司る血管)疾患、例えば心筋梗塞との関係、その他喫煙、血圧、糖尿病などの危険因子との関係が明らかになってきました。 これにより、危険因子を低減させることやLDL-コレステロール(低比重コレステロール)低下療法によって心筋梗塞や脳卒中が予防できることが示されてきました。
今までは総コレステロールと中性脂肪の高値、HDL-コレステロール(高比重コレステロール)の低値が動脈硬化症の原因とされてきました。この改訂では、LDL-コレステロールと中性脂肪の値が重視されました。単に総コレステロールの値のみで判断すると患者さんの状態の変化を見誤る恐れがあると考えられました。日常検診などでは一般的にLDL-コレステロールは測定されていません。簡便な方法で、LDL-コレステロールの値は総コレステロールの値よりHDL -コレステロールと中性脂肪の値を5で割った値を引くことで得られます。
LDL-C = T - C - HDL - C - TG / 5 そして、動脈硬化性疾患群を3群に分けることが試みられました。(T)低リスク群、(U)中リスク群、 (V)高リスク群、などです。
それぞれLDL-コレステロールの値とその他の危険因子で分類されました。特に危険因子が高くなるほどLDL-コレステロールの値を低くするように努める管理目標が設定されました。
血中の脂質を低下させる以外に、加齢・糖尿病・禁煙・高血圧が重要な事項になります。特に糖尿病に対して、十分に管理することが動脈硬化予防に重要となってきました。空腹時血糖値や随時血糖値で糖尿病と診断されていない方でも、食後1時間値で高値を示す方があり、この予備群の人たちを糖尿病にしないことが予防として非常に大切なことであると考えられるようになりました。
(院長)