2007年
11月11日発行
No.125
メタボリックシンドローム

 

最近新聞やテレビ、雑誌などで、盛んに話題となっています。いずれの医療機関でも5〜6年前から肥満が様々な身体的障害を発生することを充分警告してきました。医療費の伸びが止まらず、不況とはいえ日本人の食生活は一般にカ□リー過多の結果、榊尿病や動脈硬化症の疾患も増加していきました。

 メタボリックとは「代謝」、シンドロームは「症候」を意味します。1999年にWHO(世界保健機構)が提唱していました。2005年に我が国でも諸学会が参加して一定の診断基準が示されました。これらの結果を基にして、厚労省主導で、40歳より74歳を対象に健康診査が行われることになりました。

 前橋市と医師会で協力して30年も前から、充分に病気の予防を目的として「さわやか検診」を行ってきました。これが中止されるか、未だはっきりしません。この新しい検診のために、医師はおざなりの講習を受け「資格」を得なければなりません。

 

 次に診断基準を示します。

 

腹部肥満 男性復囲径  85p以上

女性 〃    90p以上

高血圧症 収縮期血圧   135mmHg以上

         拡張期血圧   85mmHg以上

脂質     中性脂肪    150r/d1以上

         HDLコレステロール 40r/d1以下

 

この値に入る方は、特にこれからの生活に注意しなければなりません。肥満は脂肪細胞が大きくなることで形成されています。やせている方でも脂肪細胞の数は太っている方と著しい差はないのです。

 大型の脂肪細胞は動脈硬化を抑制するアディポネクチンや食欲を調節したり、脂肪分解を促進するレプチンを分泌しなくなります。イシスリンの効力を低下させたり、血栓形成を来たす物質を分泌します。これらのことが複雑に関連して動脈硬化や浦尿病、高血圧、脂質の異常を来たします。

 肥満は軽度である段階で注意することで、生活習慣病を予防することになるのです。

(院長)