2008年
9月1日発行
No.130

       関節リウマチ治療について

三十数年の私の外科診療で、リウマチ関節炎(RA)の方々がおられ、高齢者以外は直ちに

専門医に紹介して参りました。RAの方は全国に60万人以上いると考えられています。最近の欧米の治療が進歩したのに比し、日本は全体として遅れているそうです。

最近の治療戦略は関節破壊により身体機能障害が出現し、それが固定する前に早期に治療を開始することです。早期診断は関節の朝のこわばりが30分以上続く、圧痛や腫張が二つ以上の関節にあればRAと考えることです。

実際にはこの中に他の原因で生ずる関節もあるのですが、経過中に他疾患に鑑別される事になります。RA専門医にとっては早期RAは疑い病名のまま紹介するよう希望しています。早期RAではリウマトイド検査が陰性になることも多いそうです。

治療はどのようになるのでしょうか?外国の文献では、@単剤療法、Aステップアップ方式の併用療法、B高用量のプレドニンによる併用療法、CTNF阻害薬(インフリマキシブ)とメソトレキセートとの併用療法、これら4群を多少の変更が在ったものの、2年後に評価しました。4群とも同等の改善度を示したそうです。しかしBC群においてX線上の進行は緩やかであったと結論が出ました。

しかし日本ではTNF製剤は2005年から処方可能になったばかりで、副作用として感染症が問題であり、ガイドラインで示されているように、メソトレキセートなどを3ヶ月以上使用しても治療改善のないRA患者、圧痛や腫張関節が6以上あること、感染症の危険性の少ない症例と限定されています。

医療費の観点からすると、やむを得ないのですが、薬剤が早く安く安全に改良されることを望んでいます。RAの早期治療により、完全に緩解する人も出てきたようですが、ほとんどの方は高齢になり、関節の変形、疼痛、心血管系の合併症をすでに併発しています。悪化させないように、患者さん自身も学習し、医師と協力して長期治療に粘り強く対処する必要があります。

(院長)