2009年
1月1日発行
No.132

       新型インフルエンザについて

昨年11月より12月にかけて、インフルエンザ予防ワクチンを当院でも多数の希望者に施行致しました。インフルエンザは冬期短期間に100万人単位の人が感染力の強いウイルスに侵されるものです。潜伏期間は2日間位、39℃以上の高熱、1週間程度で改善しますが、高齢者において肺炎の合併が深刻な問題となっています。

ここ数年大きな流行もなく、平穏に経過して来ました。しかし新型インフルエンザの流行が恐れられています。これはA型に属し、カモが感染源となっています。強毒株は高病原性鳥インフルエンザで、H5とH7の亜型となっています。新型インフルエンザは鳥のインフルエンザウイルスがヒトの体内で増殖できるように変化し、ヒトーヒト感染に発展するのです。(昭和52年、ソ連かぜが流行しています。症状としては通常のインフルエンザと同様ですが、致死率は66%で、肺炎が主な原因でした。)

インフルエンザHAワクチンウイルスの種類が異なるため、感染予防は出来ないようです。あらかじめ「トリーヒト感染者」または「鳥から分離」されたウイルスを基に作られた「プレパンデミック」というワクチンは有効です。しかし流行が進行中の「ヒトーヒト感染のウイルス」を基に製造されるワクチン、「パンデミックワクチン」は、製造までに1年を要するために間に合わないのです。

日本政府は2007年9月4日「H5N1」ワクチンを了承し、更に中国で採取されたウイルスを加えることを認めました。2007年10月19日には新型インフルエンザ(H5N1)ワクチンを承認しました。2008年1月に、厚労省は「プレパンデミックワクチン」3000万人分を備蓄する方針だと発表しました。その後、新型インフルエンザ接種に関するガイドラインも発表されました。流行した場合、ワクチンの接種対象者は医療従事者、救急隊員、社会機能者として消防士、警察官、自衛隊員などに指定されました。接種は原則として集団接種ですが、必要に応じ、医療機関、診療行為可能な事業所内で施行することが出来るとしています。

今のように不況で停滞した社会情勢の中で、新型インフルエンザの流行がないよう祈ります。

(院長)