2009年
9月1日発行
No.136

    前橋赤十字病院の移転について

私が前橋赤十字病院に最初に受診した時は、前橋高校一年生、六十年前でした。正面玄関は木造の二階建であり、立派なものでした。自動車の出入には不便でしたが、来院者の大部分は歩行者で、下足番の人に靴を預け病院の中に入って行きました。大学三年生の頃建物は未だそのままで、研修に来たこともありました。この病院が現在保存されていれば、歴史的建物として高い評価を受けていたと思います。

昭和40年代医療の進歩と共に病院の改築が始まり、私が昭和46年に初代の脳外科医師として赴任した時には古い建物はすっかり破壊され、現在の外観になりました。新病棟と旧病棟間の移動、手術室やX線室の配置も不便でした。新しい病棟といえども、天井が低く部屋の面積も狭く使いにくい傾向がありました。この状態が一部残存し現在迄続いています。医療の進歩、時代の変化に合わせ病院機能の充実の為に実はこの頃から移転が必要でした。

現在の病院は一部老朽化し、玄関前に二階建の駐車場があり、通行には不便で、ロビーも狭く暗い印象です。外来から病棟への移動は迷路です。今後より良い環境と機能を追求するには改築するより移転をする方が賢明です。病院周辺の地域の方は病院がなくなることで、不安であったり、地域の不活性化が生ずると考えているようですが、市民全体のこと病院の将来のことを考慮して戴きたいと思います。残された建物は他の医療施設として有効利用が可能です。

移転先として、候補地が新聞報道などされています。将来のことを考えると相当に広大な敷地と交通の要所であることが条件となります。歴史的に前橋日赤病院は群馬県の中枢的病院としての役割を果たして来ました。率直に言えば前橋の南の方面、高速自動車道インターに近い所に開けた場所があります。前橋市街と著しく離れず、適地と考えられます。移転問題も政治が絡んでいるとの噂もあります。早く解決されることを望んでいます。

(院長)