1987年
4月1日発行
No.2

        新X線断層撮影装置の導入にあたって

私が医学校を卒業して以来、28年も経ましたが、徐々に病院は立派になり、医療器具も整備され、薬品が豊富になり、治療も格段に進歩してきました.大学や日赤に勤務している時は自然にレールに乗っている感じで、時代の進歩についていけ行けました。しかし最近の10年間の医学の進歩は更に加速され、開業医としては大変な時代となって参りました。

脳外科の進歩は特に著しく、昭和50年にC.T.スキャナーが初めて日本に導入され、その威力に目をうばわれました。当時非常に高価で、私達開業医が購入出来るのは夢でありました.

昭和55年3月、当院でも頭部専用機が設置されました。このお陰で、今まで苦痛を与えていた検査が少なくなり、便利で確実な診断が下されるようになりました。高価で、小さな医院にとっては負担でしたが、よい診断が出来ることで、代価はあり余るものでした.この機械を7年間使用しましたが、次第に故障が多くなり、画像が劣下して来ましたので、今回新しい機械に交換しました。横川メディカルのイメージマックスという全身型の装置です.検査のスピードが早く、患者さんの負担が減り、画像もよくなり、今までより以上に患者さんの治療に役立つものとおもわれます.

私が使用している装置はX線を用いて頭を輪切りにした状態で観察するのです.現在は磁力線を用いたMRI断層撮影装置や放射性同位原素を用い、MRIを用いた俗にPETという断層撮影装置もあり、患者さんに苦痛を与えないで、体の内部を調べる方法が進歩してきています。これらの機械は非常に高価であり、医療費の増加の原因と攻撃されていますが、患者さんのよりよい治療のために必須のものとなりつつあります。どなたも安心して、安く診断を受けられるよう、これからの進歩に期待したいものです。

(院長)