1992年
1月1日発行
No.30

               

     骨粗鬆症について

私の中学と高校時代の同級生である東京大学老年病科の折茂肇教授がこの方面の日本の第一人者で、以下の記事もほとんど彼の受け売りとなります。

女性に圧倒的に多くみられ、地域的にみるとカルシウムの摂取の低い所ほど発症するとの報告もあります。(日本では500万人〜1000万人の発症があるといわれています。)女性は閉経後に始まり、60歳以上、男性では80歳以上といわれています。また運動不足、コーヒーやアルコールを取りすぎることも危険であるといわれています。

カルシウムの摂取量が少なかったり腸管から吸収が悪くなったり・尿中へのカルシウムの流出増加も不足する原因になります。骨にカルシウムが不足し、骨粗鬆症と診断されるには、実際はよい方法があるのですが、一般の病医院では胸椎や腰椎のX線写真で判定することになります。進行した方では腰椎が変形し、カルシウムが少ないためにX線透過度が非常に亢進しています。不思議なことに、このような方は大動脈壁にカルシウムが沈着し、動脈硬化の原因にもなっています。閉経後の数年間には骨量が著しく減少することから、エストロゲンという女性ホルモンの減少が原因と考えられています。また老化によりビタミンDが腎臓において活性型になれず、カルシウム、リンの吸収の調節が低下することもあります。

予防としては、どうしたらよいでしょうか。実際に骨がすっかりもろくなってからでは治療効果も十分に期待出来ないのです。日本人は平均800r/日のカルシウムを必要とするそうです。牛乳200ccには200r含まれています。これを考えても、なかなか沢山とれないものです。

腰痛や手足の動きが不自由になる前に、医師の診断と必要な指導を受け、改善のためにホルモン治療、活性型ヒタミンD治療、カルシトニン(骨代謝促進物質)治療を受けることが出来ます。50代初期より老化予防の心掛りが必要です。

                               (院長)