1992年
3月1日発行
No.31

               

     寿命について

私の中学と高校時代の同級生である東京大学老年病科の折茂肇教授がこの方面の前回骨粗鬆症について書きましたが、これも我々が避けて通れない老化という大きな問題があります。不老長寿の薬があれば私も飲みたいと思っています。いわゆる寿命、神から与えられた命は、事故その他の外傷、感染症を除外すれば、ほぼ定っているとも言われています。しかし個人個人が健康に留意し、長命を保とうと目指したならばどこ迄生きられるのでしょうか?すでに、日本は世界一の長寿国であり、平均寿命は男性が75.86才、女性が81.81才であるそうです。これには日本の医学が大きく関与しており、特にそのなかで皆様の身近にいる開業医の役割も大きかったと考えられます。国民の栄養状態もよくなり、この方面での関与も大きいかも知れませんが、感染症の予防、脳代謝改善剤、ビタミン剤、強心剤、高血圧薬、血流改善剤等の薬物の関与も非常に大きいのではないかと考えます。

さて、老化はどうして生ずるのでしょうか?原因は様々であるらしいのです。私達の体の臓器の強さや、弾力性に役立っているコラーゲン線維の劣化が関係しているそうです。私達は酸素なしには生きてはいけませんが、一部の酸素が完全に利用されず、活性酸素という有害な物質に代り、細胞に害を及ぼすことになります。実際に体重当り酸素消費量の多い生物ほど短命である傾向だそうです。また一方では細胞を老化させる遺伝子があるともいわれています。これは未だ発見されていないのですが、癌抑制遺伝子と似たような働きをしているそうです。老化遺伝子をコントロール出来るようになれば、寿命は更に伸びそうです。100才位迄は平均寿命が近づく可能性があります。社会的にどこを見ても老人ばかりになったら大変なことになるのではないかと誰でもそう思うでしょう。政府はそれを心配して医療費が増加するのを一生懸命抑制しています。そんな事かまわず、皆さん長生きをしましよう。

(院長)