1992年
9月1日発行
No.34

               

     めまいについて A

〔そのII〕脳血管障害との関係

一般に周囲の景色がぐるぐる廻るようなメマイは前回に述べたようなメニエル症候群で、前庭系(内耳という耳の深い部分にある)の障害です。左右どちらかの片側性、又は突発的に多く発生します。同じようなメマイは脳幹や小脳系の血管障害でも出現します。これに反し、動揺感、浮動感を主とした時に失神する感じや、立ちくらみ等は非定型的でどこに病変があるか追及する事が困難なことも多いのです。時に起立性低血圧アダムス=ストクス症候群という心臓機能の著しい低下を伴って生ずるメマイ感もあります。

脳出血や脳血栓(脳梗塞)のような血管障害が大脳領域で生じる場合、特殊な例を除いて、メマイ感の発生する場合は少ないのです。一般に外来を訪れる方の多くの場合は椎骨動脈という頚椎の間を通り、脳の中で脳幹や小脳、大脳の底面の一部に血液を送っている血管の血流障害が多いのです。

脳幹は生命維持に大切な部位で、小脳は主に平衡機能に関与しています。この流域の血流障害があるとメマイ感の他に種々の眼症状、嚥下障害、構音障害(言葉のもつれ)、四肢の麻痺などが出現することがあります。

時には脳幹や小脳に急激に出血や血栓が発生し進行する場合、頻回に嘔吐も合併し生命が危ぶまれます。

しかし多くの場合適当な安静、投薬などの治療の結果、軽快する場合が多いのです。メマイは種々の疾患とも関連がありますから、不快で持続するような場合、早期に医師の診療を受けられるようすすめます。

(院長)