1992年 11月1日発行 No.35 |
めまいについて そのB |
一般にメマイ、フラツキ感を訴える中で、高血圧、低血圧、不整脈などに伴って生ずることもよくあります。第一に血圧の問題に対して述べてみたいと思います。
血圧調節の中枢は延髄という脳と脊髄をつなぐ部位の孤束核という難しい名前の所にあります。その他延髄には呼吸中枢もあり、重症頭部外傷の時にはここに重大な影響が及ぼされ、血圧上昇、体温上昇、呼吸停止などが出現します。
孤束核は交感神経とも連絡を保ち、この機能を抑制させたり、迷走神経という心臓や胃に働く神経に影響を与えます。血圧を下げ脈を遅くする働きがあるのです。孤束核に接して、延髄には前庭神経核という平衡を司る機能を有する部位があります。この両者が椎骨脳庭動脈(頚椎の間を通って脳の底に至る血管〉の血流障害によって同時に影響を受け易いと
考えられています。
座圧の変動(低血圧を含めて)があるとこの場所の機能に大きな影響を与えます。睡眠不足、精神的・肉体的ストレスもまた、この機能障害の引き金になり悪影響を与えますから、注意が肝要です。
第二に心疾患について取りあげてみます。急性心筋梗塞の場合、老年者では胸痛や胸の苦しさがあまりなく、メマイ感が主症状となることもあるそうです。一応注意しておきましょう。また不整脈があり、心搏出量(心臓から送り出される血液量)
が少ないと、大量の酸素消費を要求する脳循環に影響を与え、メマイ感で始まり、時に失神することもあります。
(院長)