1993年
1月1日発行
No.36

               

     めまいについて C

 [そのW]精神や内分泌疾患との関係

めまい発作を一度経験すると、その体験は生々しく記憶に残り、再び生ずるのではないかと不安感を持ち過剰に反応してしまうこともあります。精神的な要因の多いめまいで、全く原因の判明出来ないものでは、ある種の精神患や神経症があります。通常この他に息苦しさ、胸がドキドキする、身振い、発汗、しびれ感などがあります。この様な場合、あわてず、落ちつかせて医師の診断を受けるようにしましよう。めまい発作の起る度に救急車で病院を訪れる方がありますが、日常高血圧症や心疾患など特別の疾患を有していない限り、生命に危険を及ぼすことはないと考えられます。医師に薬物治療を受ける必要は当然に必要ですが、精神や身体に影響を与える社会的環境、家庭生活の改善にも考慮する必要があります。又めまい症状が軽くなった時、軽い体操や運動を行い、平衡機能を克めることが必要です。内分泌疾患としては色々なものがありますが主に心拍出量が減少(心臓より血液が充分に全身に流出されない状態)する結果、脳血流低下を来たす低血圧、著しい貧血を来たす場合などがあります。

アジソン氏病という副腎機能の低下した状態では、血液中のナトリウム(食塩成分の一つ)の減少によって循環血液量が低下してめまいを生じます。下垂体機能低下症では、頭痛、易疲労性、無力、嘔気などと共にめまいも発生します。二次的に副腎機能低下もめまいの原因となります。よくみられるのは糖尿病に合併する起立性低血圧です。降圧薬などによっても誘発されます。又糖尿病性心筋症になり、心収縮力低下も一つの原因にもなります。インシュリン注射を行っている方では低血糖の早期症状としてめまいを感ずる場合もあります。

(院長)