1993年
7月1日発行
No.39

               

     動脈硬化 その2

 

前回は食事とコレステロールとの関係を述べましたが、食事との関連がなく、家族性に高い値を示す方々がいます。このような方は早期に動脈硬化が進行し、冠動脈という心臓自身を養う血管の動脈硬化のために心筋梗塞になりやすいと言われています。この他、中性脂肪が上昇する人や、コレステロールと中性脂肪が共に上昇する人もいます。コレステロールが長い間高い値を続けると、アキレス腱が肥厚したり、上眼瞼の鼻側寄りに黄色の斑点が出来たり、結節性黄色腫といって、黄色のかたまりが手足に出現する場合があります。その他、12時間以上も絶食したにも拘らず、食事後まもなく出現するカイロミクロン血症という食事後に通常現れる脂肪滴のような物質が血中に長く分解されないで残る人がいます。ある種の脂肪を分解する酵素が先天的に欠けているために出現します。

いずれにしても治療は食事療法や1日3q以上のジョギングが効果があると言われています。実際にはこのような運動は持続的に行うには困難があるために薬物治療を併用します。現在では比較的有効な薬が十数種類発売されています。1日1回投与する便利な薬も開発されました。更にどうしても異常な高値の脂質が低下しない場合には、血液を体外に誘導して、ある物質に吸着させて処理する方法もあります。私のような診療所にはまずみられない症例です。

(院長)