1993年 9月1日発行 No.40 |
動脈硬化症 その3 |
前号までは動脈硬化症とコレステロールとの関係を示しました。今回はもう一つの血中の重要な成分である中性脂肪との関係を説明したいと思います。正常値は150mg/dl以下がよいと言われます。
5-6年前、私も自分の年齢のことを忘れ、若い時と習慣を変えず、夕食時に結構アルコールを多飲していました。当時300mg/dlを越える値となり、以後アルコールを制限したため正常値に戻りました。
通常は空腹時で150mg/dl以下の正常な方は、食事後も300mg/dl以上は上がりません。従って、食事後300mg/dl以上あることは空腹時も上昇していることを意味しています。
中性脂肪高値の人にリポ蛋白異常の人やHDIコレステロールの高い人、糖尿病など合併している人がおります。このような場合、冠動脈硬化症(心臓自身を養う血管で、これがつまると心筋梗塞となる)を来たします。
この意味で、従来コレステロールの値が重視されて来ましたが、最近では中性脂肪も動脈硬化症の危険因子であることが確認されて来たようです。このまま高い値で放置しておくと問題なので、ただちに減らすべく方針を立てなくてはなりません。
実際には、肥満が最も問題です。油成分の少な'い食事を摂ることも必要ですが、全体に食品のカロリーをあげないことも必要です。
私達が子供の時には考えられなかった美味で栄養価の高すぎる食品が並んでいます。子供の頃より食生活に注意する必要があるそうです。成人病予防のため、小児科医の力が必要になって、いま全国で給食を含めた対策が行われているようです。30年後は肥満、糖尿病、動脈硬化i症と非冨に明るい展望がみられるでしょう。
実隙のところ、太っていないにも拘らザ、血中に異常に中性脂肪の高値を示す方があります。遺伝素質的な方なのでしょう。
現在は比較的よい薬があり、ある程度有効性が認められます。将来は良い食事メニューとともに、運動療法、薬物により、90歳平均寿命も夢ではなくなるかも知れません。
(院長)