1994年
3月1日発行
No.43

               

     アルツハイマー病について

老年期の知能障害は大部分は動脈硬化性のものと考えられていますが、最近私にも物忘れが気になって仕方がない、私はアルツハイマー病になったのではないかと質問する方がおられます。10年位前に、小生の所に入院され1年位過ごされましたが、後他院に転院され、進行性の知能障害のために50才で亡くなられた方がありました。解剖の結果、典型的な脳実質の変化がないということで、臨床的にはアルツハイマー病とされていましたが、結果的には誤りとされました、この事から考えても、生前に確定診断をつけることは、通常はかなり難しい事なのです。当時は老人斑という大脳皮質の病変が確定診断となったのですが、今ではアミロイドベー

タ蛋白質の沈積が原因となる事がわかって参りました。

最近色々な病気の原因が遺伝子の欠陥から生ずる事が明らかになって参りました。アルツハイマーも未だ全く発病していない段階から、将来発病する可能性を示唆する程度まで進みっつあります。数年の間に治療を含めた進歩があるものと推定されています。

その他、アルツハイマー病の場合には脳内にアルミニュームが沈積されているといわれます。私が子供の時にはアルミニュームの弁当箱が梅ぼしで腐蝕され、そばの飯の色が鼠色になり、捨てるのはもったいないので独特のアルミ味をものともせず食べた記憶があります。そのまま残留したならば何らかの影響を及ぼす筈です。また気になるのは、現在もある種の胃薬にアルミニュームが含まれていることです。将来のことを考えて、これらの物質の投与を中止した方がよいかも知れません。実際の所これらの物質が吸収され、どのように代謝されているか明らかではありません。

今のところ、動脈硬化症を生じるのを予防するため、バランスの良い食事と適度の運動と、積極的な精神活動を続けることが最もよい予防法でしょう。

(院長)