1994年
5月1日発行
No.44

               

     輸入食料について

昨年の不作で、米の緊急輸入が最近大きな話題となりました。終戦直後の食糧不足の頃と比べれば、米不足も気にならない筈ですが、食べたくない外米を食べさせられることになりました。米の中に異物が混入している、直接米に農薬をかける、一部にカビが生えていた、などの報告があります。

30年前、青カビが輸入穀物に混じり、そめ毒性が研究されました。毒物には塩素を含んだペプチドとルテオスカイリンという化合物があり、これらが、実験動物に肝硬変を生ずることが明らかとなりました。私たちはこれらの物質が生化学的にどのような作用を及ぼすか、研究したことがありました。結果は、これらの毒素は生体に悪影響を及ぼすことが認められました。

毎日毎日カビの生えたものや、農薬をまぶした穀類を食べなければ、発病しないかも知れませんが、長い間には何らかの悪影響が出るかも知れません。

政府は国産米に外米を混ぜて、国民に引き渡すよう指導していますが、汚染の全くない国産米に、汚染の可能性のあるものを混ぜるのは誤りであると考えられます。混ぜるのは消費者の考え方にまかすべきであると考えています。

私自身も強烈な想い出と体験があります。戦後間もなくアメリカの飼料用の大豆粉が配給された時でした。黄色くあざやかな色をしたパンや焼餅はとても食欲をそそるものでした。

家の誰もが食べたあと必ず30分から1時間すると嘔吐したものです。最後には家庭菜園の肥料にしてしまいました。

輸入食糧ばかりに目を奪われないで、私たちが日々食べている食品にも目を配ってみましょう。多くの防腐剤や色素などの添加物も、我々の体を知らない間に蝕んでいるかも知れないのです。子供さんに多いアトピー性皮膚炎の原因は不明ですが、こんな食品に関連するかも知れないと警告を発する人もおられます。幼児や老人は影響を受けやすいと思われます。お互い健康には注意しまししょう。

(院長)