1994年
9月1日発行
No.46

               

     ショック

前回はストレスを説明致しましたが、似たような言葉で更に一層刺激性に富む言葉がショックです。医学的には様々なショックの状態があり、死に至るか死の直前に移行する激しい状態です。精神的ショック、これは一般的に軽く言われる程度のものですが、医学的表現ではなく、文学的表現と考えられます。ショックには、外傷性、出血性、細菌性、薬物性、心原性、アナフィラキシー性と様々な場合があります。皆一様に顔面蒼白となり、油汗が出て血圧が低下、脈搏微弱、呼吸は浅くなり、更に悪化すれば意識を失い、死に至ります。

外傷の中では頭部、特に脳幹に強い外力が加わると・外見上は特に切創や打撲創がない場合でも直ちに呼吸停止や心停止を来たすことがあります。又、さしたる外傷の所見がなく死亡してしまった場合に胸腺が異常に肥大している人の場合もあります。大量に出血すれば・それだけで急速に血圧低下・循環不全を生じ・短時間に処置しなければ、脳や腎に障害を生じ、命は助かっても意識は改善しない場合もあります。

細菌が血管に流入したり、細菌の毒素が体内に入るだけでも生命が危険な状態になりま

す。薬物でも一般に中毒を生じない性質のものでも、人によっては激しい反応を生ずることがあります。常日頃自分に合わない薬物は自分で覚え避けるようにしたいものです。

心臓に欠陥がある場合、突然に負荷をかけたりすれば心停止に至ることもあり、正常な人でもいきなり冷水に飛び込めば心臓が停止する事もあります。

免疫機能と関連するショックには第一回目の刺激の時にはさしたる反応がなかったのに、第二回目には激しい反応が生じて、死に至る場合もあります。

ショックも予め生ずると予想される時はある程度の治療は可能ですが、あまりにも急激に進むために手をこまねいてしまう場合もあります。

(院長)