1995年
7月1日発行
No.51

                

   高脂血症について

脳内出血や脳血栓症が七十歳過ぎて発症するのはある意味で止むを得ないことかも知れません。しかし最近のお年寄りの方々は、非常によく気をつけておられ、私の外来通院を行っている方も同様の傾向があります。

高脂血症の中にはコレステロールが高い場合、中性脂肪が高い場合、また両者とも高い場合あります。一般的に言って、日本人の血清コレステロールは欧米人より高くはないのですが、若い人を含めて食生活が豊かになったため、1960年より30年間に30r/dlの上昇がみられると言われます。また一方、中性脂肪の上昇は血液の凝固線溶系に悪影響を与えると言われています。これらが高値となると虚血性心疾患(心筋梗塞など)や脳卒中(脳出血や脳梗塞)を生じ易くなります。比較的高値を示す方々に食事制限を強制することもなかなか難しいことです。あまりに制限すると蛋白質まで減らしたりして体力の低下につながることもあります。また人によっては見掛けはむしろやせており食生活に無関係に高コレステロールを示す場合もあります。

現在お年寄りを含めて、余りに食生活を厳密にする代りに、薬物を用いることが多くなっています。色々な種類の薬物がありますがそれぞれ特性を考えて用いられています。

血液検査により肝機能、腎機能、赤血球、白血球、血小板の数などに注意を払うようにしています。最近コレステロールと中性脂肪の両者が高値を示す方にメバロチンやリポバスとフイブラート系の薬物を併用すると稀に筋肉障害が生じることもあります。高齢者には充分注意を払っています。またアルコールを多飲すると若い人でもパンチをくらいます。最近私の所で、50代と40代の男性で脳卒中となり入院した方があります。コレステロールが知らぬ間に300r/dlと上昇していました。酒はほどほどに・酔わない程度に致しましょう。

(院長)