1996年
1月1日発行
No.54

                

   吉田さよさん、米寿のお祝い

去る11月3日、五代町公民館で吉田さんの米寿のお祝が行われました。近所の方、親戚の方等、百人以上の方が参加され、とてもにぎやかに行われました。.小生も、さよさんとは10年にわたるお付合があり、招待されました。長命は誰もが望んでいて果せないものですが、運良く米寿を迎えることの出来る人はとても幸せです。特に暖かな家族に囲まれ、日々を充実して生きていくことが、長寿につながることなのです。

さよさんも子供4人、孫9人、曾孫12人に囲まれ、温和な性格で、精神的にしっかりしていますし、記憶力も確かです。挨拶文を戴きましたが、とても感動してしまいました。家業が印刷屋さんでもあり、読みやすく、内容のあるものでした。医者は病気の自然治癒を促進し、これ以上悪くしないように努めているだけなのですが、過大評価していただいて、恐縮しています。

吉田家に嫁いだのは昭和5年で不景気で、上繭が安く1円50銭(1kgまたは1貫目)、単位は分りませんが、今の農家が蚕を飼うのをやめる状況に似てはいますが、更に深刻であったようです。今は不況だと世の中で騒いでいますが、さよさんに云わせるととても豊かであるそうです、私も終戦直後の明日の事を考えて、満腹出来るほど食事が出来なかったことを想い出せば何でもないことかも知れません。

ここで、私の主張したいのは最近すたれている大家族主義のすすめです。施設に入って長生きをしても仕方がない。家族に囲まれてこそ生き甲斐があるのです。お嫁さんは大変でしょうが、これを見ていた子供や孫は必ず、老いてから相当な待遇を受けると考えられます。

しかし最近のように出産率が低下すると将来が見えにくくなります。何はともあれ、さよさんのようにくよくよしないで、未来に向かって明るく過していきましょう。

(院長)