1996年
5月1日発行
No.56

                

   睡眠について

20年来開業して、患者さんの悩みの一つに睡眠障害があります。睡眠には二種類あると考えられます。深い睡眠と浅い睡眠です。誰でもこれらが交互に出現していると言われています。し

かし現実に毎晩睡眠をとっていながら、この二つのパターンを自覚出来ないのが当り前です。

浅い睡眠の時に起こされると、夢を見ていたということが多く、脳は活動していたことを示します。逆にこの時は筋肉は弛緩しており、目醒めた時、金縛りを体験することもあります。深い睡眠の時には夢はみているが思い出しにくいと言われています。

こんな二つのタイプは、大脳の働きを充分に機能させるのに必要だと言われています。浅い睡眠は充分に深い睡眠で休ませた脳を覚醒準備に向けて活動レベルをややあげている状態だと考えられます。深い睡眠は脳幹という、'脳と脊髄を連結する部分が関与していると考えられます。

また一方、睡眠を促す物質が30種類位見付けられています。その中には必須アミノ酸の一つのトリプトフアン、核酸の構成分であるウリジン、血糖値を調節するインシュリンなども含まれています。

さて、健康を維持するような睡眠はどのようなものでしょうか。3月10日午後8時、NHKの夫婦で納得'のテレビ放送を参考にしますと,@居眠りは非常に体の疲労、脳を恢復させるのに役に立つこと。私も深夜起こされたための睡眠不足は居眠りで、数分〜10分位でかなり楽になることがあります。A睡眠時間は人によって異なること。3時間で充分な人、8時間でも足りない人等さまざまです。2時間しか眠れなかったと悩む必要はありません。次に深い睡眠があれば取り返しがっくのです。Bほど良い睡眠を得るようにするにはどうしたら良いか?実は温めた一杯の牛乳が適切であるそうです。牛乳の中にトリプトファンが含まれるということです。ビタミン類、カルシウムも一役買っています。睡眠を得るための最後の手段として睡眠薬の服用は止むを得ません。

老年者の方ではある種の薬は幻覚や意識障害を来たすこともありますが、患者さんの体の状態を考え、薬を選択して必要最小限度・増量や連用を避けることで、安全であると考えています。

(院長)