1996年 11月1日発行 No.59 |
ぼけないように暮らしましょう |
去る8月21日桂萱公民館にて“老人の脳疾患について"という標題で講演を依頼されました。たくさんの方々の出席がありました。もう少しわかりやすく話せればよかったと、今反省しているところです。老人の脳血管性病変は今までかなり減少し、死亡率の第三位を保っていましたが、最近また第二位に転じたようです。人口構成から、お年寄りはどんどん増え、25年後には大変な数となります。したがって介助、介護を受ける人がたくさん増加しています。一方、若い人が子供を育てず、どこの家でも老人を家庭で面倒みる可能性が少なくなりました。脳血管性病変による痴呆、アルツハイマー型痴呆もどんどん増加しています。私の入院患者さん、外来患者さんの中にもこのような方々が増加しつつあります。6年前、本紙「5-6月号」に痴呆について述べましたが、ここで改めて、別の視点から述べさせていただきます。
当時は家庭で療養出来ない患者さんは、無理を言って、精神病院にお願いしておりました。その頃に比べると社会的環境は著しく整備されました。前橋市にも本年になってから、急速に痴呆性介護施設が開設されました。私の診療所北3キロのところに、“一羊館"という老人施設が新設され、もうすでに何人かの方をお願いしました。このような施設は喜んで入所される方と、決して希望しない方があります。清潔で快適な施設であり、昔のように暗いイメージは全くありません。しかし一つだけ欠点といえば現在の国の制度では長期連続して入所出来ない事です。まだ入所したばかりなのに、痴呆の老人が帰宅する時、著しく家庭が混乱すると思案に暮れているご家族も居ります。誰でも、希望すれば、長期間入所出来る状態が将来可能になるよう祈っています。
痴呆にならないためにはどうしたらよいでしょうか。
@大切な事は食事をバランスよく規則正しくとること、
Aタバコを吸わないこと、
Bアルコールは少量を適度にたしなむこと、
C昔の嫌な、大儀をしたことは、記憶していても思い出さないようにする、
D新しい未来に向かって、常に立ち向かう精神を失わないことであります。
老人になれば医師の診療を受けるのは当たり前であって、自分でどこも悪くはないと過信しないとです。
(院長)