1997年
3月1日発行
No.61

                

   磁気断層診断装置について

凡そ15年以上前に、当時は画期的だと言われていたX線断層診断装置(X線CT)が当院で設置され、脳の診断のために用いられてきました。

その間、医学の進歩は著しく、10年程前から、大きな病院に磁気診断装置(MR1)が導入されるようになり、私も多数の患者さんを紹介し、診断治療のために必要なことを痛感しておりました。しかし高額で手が届かないと考え、友人の埼玉県の医院にまで患者さんにご足労をお願いし、検査をしてきました。昨年頃より比較的小型で、当院にも設置可能な永久磁石を用いた機器が、何とか購入範囲の価格で出現してきました。

当院に本年1月5日に搬入され、組立ての後、2週間後には検査可能となりました。GE横川メディカル社製、0.2テスラの永久磁石タイプです。大学病院や県立循環器センターの1.5テスラの強磁場の機器に比して、8分の1磁場の強さですが能力は3分の1位になっています。

通常の脳の診断にはほぼ支障はありません。X線CTで検出できない小さな病変が検出され、将来の治療方針に参考となります。しかしX線CTも簡便で異なった利点もあります。少量のくも膜下出血の検出、急性期の頭部外傷にはX線CTが有利です。両者を組み合わせて、今後の診断治療に役立てていきたいと考えています。X線CTは10数分で終了しますが、MRIの場合、20分より1時間近く時間を要する場合があり、その間、動かないようにして戴く事が肝心です。また機械内部より、複雑な音が聞こえます、大型のMRIに比してはるかに音は小さく、検出機の構造も心理的に圧迫感を与えないものになっています,細い道には軽自動車が有利なように省エネルギー型で、60歳をすぎた院長にも操作可能な開業医に適した製品です。

(院長)