1997年
5月1日発行
No.62

                

   MRI 検査2ヶ月の経験

CTスキャンはX線を照射して、断層像を得ますが、MRIは磁力線と電磁波を用いて検出しています。人体に悪影響はそれ程ないと言われていますが、今後の課題と考えられます。ただし体内に金属を埋め込んである場合や、心不全の治療のためペースメイカーを埋め込んである方は適応ではありません。MRlの利点は脳の細かな構造が描出され、脳の機能障害一部も判明します。当院で長く通院されていた方などで、CTではっきりした所見が得られず、病変の部位診断が困難であった方のナゾが一挙に解決した場合もあります。また突然に舌の運動障害を生じた方で、脳幹部に小さな脳梗塞を発見出来た方もあります、治療方針も速やかに立ち、役に立ったと一安心した場合もあります。脳梗塞の場合でも病変の性質や範囲などがより正確に判明しています。私の所では救急医療を行っております。いわゆるムチウチ損傷の患者さんで、強固な頸部痛や上肢のしびれ感を訴える場合があります。今迄のX線検査だけでは得られなかった頚椎椎間板の損傷の程度が判明し、経過観察に役立っています。また軽い転倒事故にも拘らず、激しい腰痛を来たし、歩行不能となった老人の場合、腰椎レントゲン診断では変形性変化のために、どの部位に損傷があるか、判定困難でした。MRIの追加検査で、明瞭に損傷部位を指摘でき、コルセット装着、早期離床に結びつきました。

当方の装置でも、その他四肢の関節、心臓、腹部内臓の検査に応用ができます。今のところ、脳の検査が主なものとなっていますが、検査範囲は広くなっていくものと考えています。

(院長)