1997年
11月1日発行
No.65

                

   糖尿病と脳梗塞

11月3日から9日までが糖尿病週間だそうです。糖尿病は尿に糖が出現するのが病気の本態ではなく、血液中に高値のブドウ糖が出現することが問題なのです。糖尿病により心臓、肝臓、腎臓、果ては脳、神経まで悪影響を及ぼします。今回は特に脳梗塞に関係して皆さんの注意を喚起したいと思います。脳梗塞は脳の血管が動脈硬化を起こし、脳血管内壁に血栓を生じて閉塞する場合。心臓や頚動脈の血栓や動脈硬化物質が、血流と共に脳血管に達し閉塞する場合などがあります。どうして動脈硬化を生じやすいかを考えると、糖尿病では特に高脂血症を生じやすいことがあげられます。インスリンが欠乏すると血中の中性脂肪の上昇、善玉(HDL)コレステロールの減少が認められることがあります。インスリンに関係しないタイプの糖尿病でも中性脂肪上昇、HDLコレステロール低下があり、高コレステロール血漿を生ずる場合があります。

この高脂血症と一般に糖尿病の人たちに多い内臓型肥満、高血圧、血液凝固線溶系の異常等が関連して動脈硬化や血管障害をもたらします。実際に、私の医院で半身麻痺などをきたした方々のうち、糖尿病である人たちがとても多いのです。糖尿病とはっきり診断されてからも酒類をよく飲んだり、甘い物を絶てなかった方々がある日突然に脳卒中に襲われます。また、昨年は健康診断で異常がなかった方が、今年は知らない間に糖尿病になっていたという場合もあります。食前の血糖を調べて、低いとつい安心してしまいます。時には食事後1時間から2時間位の血糖も調べる必要があります。血中のコレステロールや中性脂肪が多い時には辛抱強く食事療法を試み、必要に応じ医師に相談し、投薬を受けるようにしましよう。

(院長)