1998年
1月1日発行
No.66

                

   インフルエンザ考

昨年の暮れから新年にかけて、インフルエンザが流行するかと恐れられています。私の医院では12月初めになっても、その徴候はありませんでした。世の中で感冒やインフルエンザが流行すると、私の医院でも内科の先生の10分の1位の患者さんですが、普段の月に比すれば格段に多い状態となります。インフルエンザに対する治療法は医師により、考え方によってもさまざまであると考えられます。一体インフルエンザはどこから運ばれて来るのでしょうか。シベリヤや中国の奥地から渡り鳥により運ばれたり、豚に感染後人間に感染し易いようにウイルスが変態する、はては宇宙にウイルスがただよっていて落下して感染するなど、面白い説が沢山あります。実際、色々なタイプがあり、ワクチンを作っても、流行したタイプに合わないと一向に効かないそうです。最近、鳥にのみ感染すると考えられていたH5N1というビールスがホンコンより上陸すると恐れられています。5〜6年前までは、患者さんの希望もあり、予防ワクチンを暮れから翌年にかけて、2回に分けて実施していました。10数人の方々の半分位の方が、感冒を惹いても軽くすんだとも云っていました。何人かの方は何だか分からないが、心配しているよりは神だのみの気持ちで注射をしていたようです。前橋市医師会が学童に予防ワクチンを注射しない方針を定め、また、副作用が発現した時には医師個人の責任が問われる世相となったので、当院での注射は中止した状態になりました。大流行が発生した時には接種したほうが良いのか、あれやこれや考えているところです。

昨年のはじめ、近所のお年寄りが数日のうちに肺炎となり、意識障害を生じ、循環器病院に送り込んでようやく救命し得たこともありました。テレビの番組ではインフルエンザに有効な薬はない、発熱しても38℃位は解熱剤を用いる必要はないなどと放送していました。また38℃位でも風呂に入っても良い、すぐ休めば大丈夫と云っていました。私自身の体験からは、熱っぽい感じがしたら風呂には入らない方が良さそうです。私は開院以来、感冒で医院を休んだことは一度もありません。発熱し重症化しないように用心して来ました。以前、看護学生が私の指示を無視し、風呂に入り、何回も発熱して大さわぎになった事も想い出します。基本の治療は安静と体力の維持にっとめ、必要に応じ適当な薬剤を服用する事です。ビタミンCを多く含む食事、梅干し、大量の番茶の服用、ショウガなども有効なようです。個人個人が用心する事が最も肝要です。

(院長)