1998年
9月1日発行
No.70

          

睡眠障害について

1996年5月号に、睡眠について説明しましたが、その後も多くの訴えや悩みを聴いていますので、追加の文を記すことにしました。脳は体重の2%程度の重量しかないのに、大量のエネルギー(18%)を消費します。眠れないと脳はオーバーヒート"してしまう事になります。前にも書いたように、眠りには浅い睡眠「レム睡眠」と深い睡眠「ノンレム睡眠」があります。いろいろな睡眠の働きは脳自身が脳をコントロールしていると考えられています。

深い睡眠は脳の温度、血流、ブドウ糖代謝、意識の水準を下げ、脳を鎮静化させます。この作用を充分に受けられない短時間睡眠者(6時間以下)の人が都会で増加しているそうです。もともと短時間睡眠に慣れている人や、休息中に充分恢復した人では問題はないのですが、労働者にとっては重大な産業事故、自動車事故などの原因となるため、睡眠不足は注意しなければなりません。

最近、睡眠は免疫機能を強化するとも言われています。不規則な生活や絶えず睡眠不足にある人は癌の発症が高いとも言われます。また、このような生活を持続する事によって、「うつ状態」になる人もあります。仕事をしても進歩や発展を伴う方向にもっていく事は困難です。

短時間睡眠者の場合でも、本人が覚醒後満足感があり、体の活力が戻る人は問題ないはずです。また、多少不足しても、一日のうちで昼寝を30分位するだけでも補えればよいと考えられます。夜間眠れないと不安になる必要はないと考えられます。日中を有効に過ごしたり、体を動かして脳中に睡眠物質(推定物質)を蓄積させることも重要です。老人の方に不眠についてよく相談されますが、多くの場合、日中仕事がなく休んでいる方が多いものです。

睡眠不足で体調悪化を来たす方は睡眠剤が必要となります。出来るだけ作用の弱い、副作用の少ないものから始め、連用しないで、生活習慣などを改めるようにしましよう。 

(院長)