1998年
11月1日発行
No.71

          

ダイオキシン汚染について

昨今環境ホルモンが話題になっています。非常に微量であっても、生物に対し、色々な影響を及ぼすことが考えられています。今迄毒物であっても、国がある一定の基準値を定め、それ以下であれば許容されると云った考え方が一般的でしたが、今後はこれを一変させなければなりません。

これらの物質は現在150種類もある様です。大きく分類すると産業化学物質、ダイオキシン、農薬、天然物質、医薬品などがあります。有機水銀、DDT、PCBなどは以前より問題となって来ましたが、非常に毒性の強いダイオキシンが今迄放置されて来ました。ダイオキシン類も沢山ありますが、そのうち四塩化ジベンゾジオキシンは青酸カリやサリンよりはるかに強い毒性があります。

今、日本全国で汚染が進行中です。色々行政が手を打っているのですが、後手に廻り、排出量を充分に減らすことが出来ません。ゴミの焼却、金属精錬、紙の漂白などで大量発生しています。このような過程で排出されたダイオキシン類は食物、大気、皮膚などを通して体内に取り込まれます。ゴミ焼却場付近で生活している母親の母乳から、これが検出されているそうです。乳児に対し当然何らかの作用があると考えられますが、差し当り急性毒性がないため厚生省は許容する考え方らしいです。各国でも許容値のレベルは様々であり、日本より厳しい国もあります。兎に角、今後出来るだけ排出させないことが先決です。

私達が医学部を卒業した頃には、アトピー性皮膚炎、精子数減少症、動物や魚の奇形等は話題になっていませんでした。これらの物質は、発ガン性などにも関与しているとされます。私の診療している脳疾患のうちでも、これに起因する事が判明するかも知れません。

しかし現段階では食物、大気汚染を気にしすぎると、食べるものもなくなります。しかし遅発的に次世代に影響は出るものと考えられます。

(院長)