1999年
7月1日発行
No.75

          

片頭痛について


頭痛はいろいろな場合に生じます。頭部外傷、発熱、更には精神的に追い込まれた時なども出現し、その程度もさまざまです。私が最も注意しているのは脳の器質的変化、脳血管障害を見落とさないことです。このような病変がないと、診断後、頭痛がどこから由来しているか追及し頭痛を軽快させていくのが一苦労なのです。

頭痛を分類すると機能性頭痛と症候性頭痛に分けられます。機能性頭痛は更に、@片頭痛、A緊張型頭痛、B群発頭痛及び慢性発作性片側頭痛、Cその他の非器質性頭痛、と分類されます。実際に外来診療で、すべての方を正確にこの4型に分けるのは極めて困難なことです。ある大学の調べでは、15歳以上の日本人の8.4%が片頭痛持ちで、女性が男性に比し4倍になるそうです。また頭痛があっても医療機関に受診する方は3割位だそうです。頭痛の前兆として視力障害、閃輝暗点(眼がチカチカするなどが比較的多くあり、時には失語や片麻痺を来たす場合もあります。前兆を伴わない場合もあります。前兆として視力障害の生ずる時は、脳血管が一時的に収縮し、その後拡張するために頭痛が生じます。また、時に片頭痛の方はひどい嘔吐を伴うこともあります。このような場合、ほとんど動けず寝込んでしまいます。動いたり、マッサージをして軽快する場合は緊張型頭痛の可能性があります。

また片頭痛は朝起きてから生じたり、痛くて目が覚めたという事があります。初めて受診した方には、CTスキャン、MRI、MRIによる血管撮影をして、頭蓋内に病変がない事を確かめるようにしています。治療はエルゴタミン製剤やトリブタン系薬剤やその他の鎮痛剤を併用しています。

最近、Ca拮抗薬という血圧をさげる薬に似た薬剤が有効とされるようになり、新薬も発売が間近になりました。この薬が予防薬としても有効かどうか、期待しています。早く頭痛に対して有効な治療法が開発される事を期待しています。

(院長)