1999年
9月1日発行
No.76

          

脳代謝改善剤について


人間の臓器のうちで、どれが最も大切なものなのでしょうか。心臓の機能を失えばすぐ死んでしまう。肝臓の機能が低下すれば毒物や吸収したものを分解、排出、更に利用する事が出来なくなる。腎臓が駄目になったら、取りあえず人工腎臓によって生き永らえることが出来ます。

脳はどうでしょうか。意識障害を来たすほどの損傷を受ければ、生命に危険を及ぼしますが、脳の大脳機能の一部が低下した痴呆症では生命に直接的な影響を及ぼすことはありません。他の臓器と異り、機能低下が生じるとなかなか元の状態に戻りません。

この様な状態を少しでも改善しようとして、過去30年位前から沢山の薬が開発され、そして発売されてきました。結局痴呆に有効な薬は現在一つも厚生省によって認可されていません。

私達は脳機能を改善すると効能が示してある薬を色々と組み合わせて使用し、ある程度の効果が示されて来ました。厚生省はこれらの薬に対し、製薬会社があらためて有効であることを科学的に、また治験学的に証明することを指示しました。脳に効くとされる薬は製薬会社にとって、有効であると証明するには莫大な費用を要するため、この効能効果を除く事にした訳です。7月以降、沢山の薬を医師は使用出来なくなりました。残された少ない薬を応用して、体の不自由な方の改善や今後の病気の再発予防を目指して行かねばなりません。厚生省は予防的に薬を投与する事を禁じています。今回の薬の効能効果の変更で、医療費の削減になると推定されます。今後投与後1〜2週で、痴呆が改善されるような本当の薬の開発が待たれます。これはしばらくは夢であるでしょうから、個人で自分の体をしっかり管理しなければなりません。タバコを吸わない事、酒を飲みすぎない事、美食や脂肪の多い食事、甘い物を食べ過ぎないこと等。

適当な運動により、全身の機能活性を維持すること等です。

来年から介護保険が実施されますが、出来るだけ、これにお世話にならない様にしましよう。

(院長)