2000年
1月1日発行
No.78

          

介護保険について その2

昨年10月より、今年施行される介護保険のために障害のある方の認定審査が始まりました。

障害の程度に応じ、各方面より依頼された5人の審査員の方々が合議して階級を決めていきます。理屈の上では正常な評価が下されるわけですが、本人としては釈然としない場合が多々あるはずです。そのため、本人の希望があれば、再度認定審査を受けることが出来ます。

私の一番気掛かりなことは体と脳が標準以上にしっかりしている90歳以上のお年寄りが、自己管理を厳しく、他人に迷惑をかけないようにしてきた事が全く評価されず、保険料だけ払い続けなければならないことです。健康で有為な生活を送ってきた方々が更に長命を保っための制度も欲しいものです。

ところで、前号が発行されて間もなく、政府により、平成12年4月から9月まで、保険料の徴収を第1号保険者(65歳以上の人)には行わない。更に10月から1年間保険料は半額に軽減する。第2号保険者(40歳以上65歳未満の人)には平成12年4月から1年間医療保険料の負担増について国が財政支援を行うことになりました。更に低所得者の3年間・「訪問介護」の利用者負担を3%に軽減し、家族介護支援事業に対し、国家助成を行う方針となりました。

お年寄りが一時的に見掛け上楽になった陰には、今後若い人への大きな負担増が隠れています。選挙が近づいている故、一時的人気対策であるという評判が立でられるのも致し方ありません。介護保険が始まる前から、これだけの混乱があります。4月より介護保険の現場でもいろいろな問題が出現すると考えられます。また将来多大な費用を必要とする保険制度となりうる可能性があり、医療費抑制が大きな柱となった現行保険制度の後追いをするようになりそうです。

(院長)