2000年
7月1日発行
No.81
けいれん発作について

 頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍など明らかに脳に異常があると推定される方に時々けいれん発作や意識消失発作が生ずる事があります。また、いくら検査(例えば脳断層撮影、脳血管撮影、脳波検査など)をしても何ら異常所見が認められていない方にもしばしば認められます。
 治療は、多くの場合、発作を抑制する薬の服用が必要となります。発作は医学の正式病名は“てんかん”という字が当てられます。また、私たちが国に患者さんの医療費を請求する際、レセプトに“てんかん”の病名を記さないと投薬が認められない事になっています。“てんかん”という言葉は響きがとても忌わしく、私は患者さんの前では発作と言うようにしています。
 発作の型は分類すると非常に多岐に分かれます。発作の種類によって、投与する薬が異なる場合もありますが、現在は5種類の薬を第一選択として投与し、必要に応じて増量したり、数種の薬を組み合わせたりしています。運よく1種類や少量用いるだけで、非常に有効な方もあります。また一方では、増量し、数種の薬を組み合わせても充分に効果が示されない方もあります。あまり増量すると眠気やふらつきが目立ち、日常生活にも支障を来たす場合もあり、なかなかバランスを取ることが困難な場合もあります。したがって現在でも、世界中で新しい薬が開発されています。しかし著しく有効な薬はないようです。日本では発売許可はなかなかされておりません。
 最近、難治例や発作のコントロールが困難な症例に脳の外科手術が行われるようになっています。脳の神経線維の一部を離断したり、発作を生じさせる部位(焦点)を切除したりします。有効例も増加しつつありますが、今後未だ課題の多い領域と思われます。
 日常の診療では一人一人個人差があり、一様に解決できず、患者さんと共に悩んでいるのが現状です。何はともあれ、患者さんの社会生活が維持できるよう、留意しています。   
                                  (院長)